3DCG絵本 コフィアナ館物語 第2話 制作・夢穂六沙
- Digital100 JPY

🌸コフィアナ館のふしぎな午後🌸 〜しゃべるネコとおやつのまほう〜 あるひるさがり、 やさしい風が庭をくすぐるころ── 館の門から、ふわふわのしっぽを揺らしたペルシャ猫が、 ちょこんと顔をのぞかせました。 首にはピンクのリボンがきらり。 「ラピスっていうニャ。ペルシャラン王国の貴族に飼われてた猫ニャ。無礼はゆるさないニャ。妖精を追っかけて、ここまで来たニャ。妖精を出すにゃ!」 みんな、びっくり! 「猫がしゃべった!?」 メイドのわたくし、コフィアナがやさしく微笑んで── 「この世界では、だれでもお話できますのよ、ご主人様」 妖精ティーファがふしぎそうにラピスを見て、 「こんな子知らないわよ。勝手についてきたのよ。迷子なのかしら?おなか空いてない?」 ラピスは、ちょっとむすっとして言いました。 「ラピスは乞食じゃないニャ! 他人の施しなんて受けないニャ!」 でも── テーブルに並ぶお昼ごはんを、遠くからちらりちらり。 ティーファがつぶやきます。 「痩せ我慢しちゃって……ふふっ、かわいい」 そんな様子を見たご主人様がぽんと思いつきました。 「じゃあ、午後のおやつは“おやつパーティー”にしよう! 誰でもお客様だから、施しじゃないよ。ラピスも大歓迎!」 「すてきなアイディアですわ、ご主人様」 わたくしコフィアナ、すぐに準備いたしました。 庭園の丸いテーブルには、 ケーキ、クッキー、ふしぎな羽根のかざりのついたマカロン。 ラピスはドキドキしながら── 「ラピスはお客様ニャから……食べてもいいニャ……」 そして……ぱくっ、もぐもぐ……ごくん。 「おいしいニャ!」 ティーファが笑って言いました。 「食いしん坊さんだこと!」 「食いしん坊じゃないニャ。ラピス、ニャ」 ご主人様が言いました。 「ラピスはずっとコフィアナ館のお客様だよ。一緒にごはん食べようね」 「仕方ないニャ……屋敷の主人のカイがそう言うなら、従うニャ!」 ティーファがクスクス笑い。 「まあ! 調子のいい猫ね!」 「ラピスはお客様だから調子いいニャ」 こうして── コフィアナ館に、また新しい仲間がふえました。 --- 🌼 “その日、風の音がちょっとだけ やさしくなった気がしました──”