収録作品（掲載順・敬称略）

「熱に狂う」日鷹れい 何にも興味を抱けない人生を送っていた雫は、Vtuber「緋色ヒバナ」として活動する兄を手伝ううち、生きがいと呼べるものを見出していく。しかし、彼女は理解していなかった。人気の影には常に危うさが付きまとうということを。 「オレンジのコスモス」夜市川鞠 クラスに馴染めず孤独な高校生活を送るナツ。彼女の唯一の味方は同じ美術部に所属するイチカだった。「次の展覧会ではふたりで同じモチーフを描こうよ！」イチカの提案はナツの心に揺らぎをもたらす。 「砂の城」炉炉 枕元に手紙が届く。唐突に現れるその手紙は、幼い頃に行方不明となった兄からのものだった。手紙には、すべてが砂に埋もれた不思議な世界で暮らす兄の様子が記されていた。そして明かされる、この世界の秘密とは。 「人生が一度きりなら」熟成みかん 悠人は真面目な大学生だ。毎日きちんと勉学に励み、就職先も決まり、恋人とも良好な関係を築いている。ところが、そんな彼の生活に小さな異物が紛れ込む。一度しかない人生。あなたならどう過ごす？ 「思考ゲーム」祇光瞭咲 とある男がテーブルに座り、もうひとりの男と向かい合って朝食をとっている。しかし、彼はどうも様子がおかしい。さて、男はなぜ怯えているのでしょう？　私は思考ゲームに興じながら、徐々にその違和感に蝕まれていく。 「カルペ・ディエム」猩々けむり 私はずっとあなたを見ている。日々孤独を感じながら、それでもマジョリティに迎合することを選べないあなた。けれど、「その男」は突然あなたと私だけの空間に入り込んできた。何もかもを、破壊して。 「星を願いに」十月涼 その日、ジョゼットは星を飲んだ。声に導かれて行った、願いを叶えるためのおまじない。彼女の物語が辿るのは、幸福か、絶望か。ジョゼットはただ、彼の心が知りたかったのだ。 「月の詩」うづきあお 世間ではS-moonという正体不明のアーティストが話題になっている。高校三年生の輝明は、友人の亮治と共にバンド活動に精を出している。充実した毎日。だが、終わらせなければならない。その瞬間は確かに近づいていた。