忌部氏の逆襲 第六部スピンオフ(都市)
- Digital300 JPY

第六部 令和の祭政(最終編) ある論説 テレビが煽る“都市幻想”と地方離れ テレビはしばしば、ネオンとスピードに満ちた都市の刺激を「成功」や「自由」の象徴として描く。だが、その演出は多くの場合、地方の暮らしと家業の価値を見えにくくし、人々をふるさとから遠ざける誘因になってはいないか。 無目的な金儲けを最上とする都市の仕事への過度な憧れを煽れば、やがて社会は画一的な“アメリカ型”価値観へと傾き、**日本本来の姿――土と季節、家業と共同体に根差す生き方――**が痩せていく。 日本の強みは「土地×家業×共同体」の連関にある • 家業の継承:農林漁業、ものづくり、商い。地域に蓄えられた技と信用は、家庭と町内のネットワークで守られてきた。 • 顔の見える経済:相互扶助と長期志向が、短期利益に勝る安定をもたらす。 • 季節のリズム:祭礼や年中行事が、人と土地を結び直す“時間の設計”となる。 メディアが改めて担うべきこと ① 地方の誇りを主役に:家業の技術、継承の意思決定、共同体の連携を“成功物語”として正面から描く。 ② 若者のU・Iターンを希望の物語に:都市で得た知見を地元に接続するケースを、安易な“敗北”として消費しない。 ③ 金銭以外の価値を可視化:安全・時間・人間関係・自然の循環――暮らしの総合的豊かさを評価軸に置く。 ④ 都市礼賛の単調さから離れる:きらびやかな消費とスピードだけに依存した演出を減らし、土地に根差す生計の美しさを積極的に表現する。 結び 都市が悪いのではない。一極の幻想が国の根を削るのだ。 テレビは社会の羅針盤である。ならば、地方の良さと家業の誇りを等身大に映し出し、“アメリカ型の画一性”に流されない多様な価値観を示すべきだ。 それこそが、日本の本来の姿――土地・家業・共同体の連関を未来へ手渡す道である。