一軸送り機構で学ぶ 数理モデリングと制御 第2巻 弾性モードと 2 自由度制御編
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一軸送り機構で学ぶ 数理モデリングと制御 第2巻 弾性モードと2自由度制御編 弾性結合モデル・共振と反共振・2自由度状態空間表現・二重センサ・ノッチフィルタ 総ページ数:229p
【本書について】
本書は、一軸送り機構を題材として、弾性結合を含む2自由度モデルと、その制御上の問題を学ぶための技術同人誌です。第1巻では、モータ側とテーブル側が理想的に剛結合していると仮定し、送り軸全体を1つの自由度として扱いました。本巻では、その仮定を一段ゆるめ、モータ側と負荷側の間に弾性と減衰が存在する場合を扱います。
【剛結合の次に現れる問題】
現実の送り機構は完全な剛体ではありません。モータ軸、カップリング、ボールねじ、ナット、テーブル、ガイド、取り付け部は、それぞれ有限の剛性と減衰を持ちます。そのため、モータ側では指令どおりに動いているように見えても、負荷側では相対変形や残留振動が生じることがあります。高速位置決め、急加減速、重いワーク、低剛性な機構では、この差を無視できない場合があります。
【第2巻で扱うモデル】
第2巻では、モータ角 θ とテーブル位置 x を独立した一般化座標として扱います。両者の間には、結合剛性 k と結合減衰 c を持つ弾性要素を置きます。相対変形を δ = αθ − x と定義することで、モータ側と負荷側の間に生じるたわみ、結合力、弾性エネルギーを明示的に扱えるようになります。このモデルにより、1自由度モデルでは見えなかった共振、反共振、残留振動、センサ位置の影響を議論できます。 【1自由度モデルの限界を確認する】 第1巻の剛結合1自由度モデルでは、モータ角とテーブル位置は常に x = αθ で結ばれると仮定しました。この仮定のもとでは、送り軸全体を1つの等価質量または等価慣性として扱うことができます。しかし、現実の機械では、カップリングのねじれ、ボールねじ軸のねじり、支持部やテーブルのたわみが生じます。本巻では、この内部変形を含むモデルへ進みます。
【共振と反共振を扱う】
弾性結合を導入すると、送り軸は固有振動を持つ系になります。モータ側と負荷側が同じ向きに動く剛体モードと、両者の相対変形を伴う弾性モードが現れます。また、周波数応答には共振だけでなく反共振も現れます。本書では、2自由度モデルの運動方程式、状態空間表現、伝達関数を通じて、これらの現象がどのように生じるのかを整理します。
【センサで何を見ているかを考える】
本巻で特に重視するのは、センサで何を測っているかです。モータエンコーダで測っているのはモータ側の運動であり、リニアスケールで測っているのは負荷側の運動です。弾性変形が小さい領域では両者の差は目立たないかもしれません。しかし、共振周波数付近では、モータ側と負荷側が異なる動きをすることがあります。どこを測り、どこを制御し、どの振動を抑えたいのかを明確にすることが、2自由度制御の重要な論点になります。
【PID制御の限界と対策】
1自由度モデルでは、PID制御や状態フィードバックによって見通しよく応答を整えることができました。しかし、2自由度モデルでは、モータ側だけを見たPID制御では、負荷側の振動を見落とす場合があります。制御器が悪いというより、制御対象のモデル化の粒度と、制御器の設計方針が整合しているかを考える必要があります。本巻では、PID制御の限界、二重センサフィードバック、ノッチフィルタによる共振対策を扱います。
【各章の構成】
【第7章 弾性結合を含む2自由度モデル】 剛結合1自由度モデルの限界を確認し、モータ側と負荷側を独立した座標として扱う2自由度モデルを導入します。相対変形 δ = αθ − x の意味を整理し、結合剛性と結合減衰を含む運動方程式を導きます。さらに、モータ側を直線座標へ換算した表現や、剛結合1自由度モデルとの関係も確認します。 【第8章 2自由度モデルの状態空間表現】 第7章で導いた2自由度モデルを状態空間表現へ変換します。状態変数の選び方、状態方程式、出力方程式、可制御性、可観測性を整理します。モータ側出力と負荷側出力を分けて扱い、どの量を観測しているかによって制御対象の見え方が変わることを確認します。 【第9章 2自由度系の固有振動と共振】 2自由度モデルの固有振動を扱います。剛体モードと弾性モード、共振と反共振、共振周波数と反共振周波数の関係を確認します。また、減衰を含む場合の見方や、制御帯域と共振の関係、パラメータが共振周波数へ与える影響も扱います。 【第10章 2自由度モデルの状態フィードバック制御】 2自由度モデルに対する状態フィードバック制御を扱います。閉ループ行列、極配置、ゲインの物理的意味を整理し、剛体モードと弾性モードを意識した設計を考えます。また、目標値追従のための前置補償や、積分器を含む拡大系にも触れます。 【第11章 2自由度モデルにおけるPID制御の限界】 モータ側PID制御を2自由度モデルへ適用した場合の限界を扱います。モータ側出力と負荷側出力の違い、閉ループで見た負荷側応答、残留振動が残る理由、PIDゲインを上げたときに起こる問題を整理します。1自由度近似が破れる条件や、実用上の設計指針も確認します。 【第12章 二重センサフィードバック】 モータ側センサと負荷側センサの両方を用いたフィードバック制御を扱います。セミクローズドループとフルクローズドループの違い、二重センサフィードバックの基本構造、センサ重み付けと周波数帯域の関係を整理します。負荷側位置フィードバックの利点と、ノイズや位相遅れに関する注意点も扱います。 【第13章 ノッチフィルタと共振対策】 共振対策としてのノッチフィルタを扱います。2次ノッチフィルタの標準形、周波数応答で見たノッチの働き、ノッチ周波数の決め方、周波数ずれとロバスト性、位相遅れと制御帯域の関係を整理します。ノッチフィルタは有用な対策ですが、単に入れればよいものではありません。本章では、その効果と副作用を確認します。 【付録と解答例】 付録には、第2巻で用いる記号一覧とモデル早見表、2自由度系の固有値とモードの補足、Pythonシミュレーションを収録しています。また、各章の章末問題に対する解答例も収録しています。本文を読むだけでなく、問題と解答例を往復することで、2自由度モデルの導出、固有振動の理解、制御設計の考え方を確認できる構成にしています。
【想定読者】
本書は、第1巻の1自由度モデルを理解したうえで、より現実に近い送り軸モデルへ進みたい方を想定しています。制御工学、機械力学、メカトロニクス、ロボット工学、工作機械、精密位置決めに関心がある方、モータ側エンコーダと負荷側位置の違い、共振、反共振、残留振動、ノッチフィルタの意味を具体的な機械モデルから理解したい方に向いています。
【前提知識】
第1巻で扱う剛結合1自由度モデル、ボールねじ換算、状態空間表現、PID制御に触れていると読みやすい内容です。また、微分方程式、行列計算、ラプラス変換、基本的な振動系、制御工学の初歩に触れた経験があると理解しやすくなります。ただし、必要な事項については本文中でも補足しています。式を追うだけでなく、図と物理的意味を往復しながら読むことを想定しています。
【商品形式】
電子版には、PDF版とEPUB版を同梱しています。PDF版は、数式、図表、ページ構成を確認しながら読む用途に適しています。数式や図を正確に追いたい場合は、PDF版での閲覧を推奨します。EPUB版は、スマートフォン、タブレット、電子書籍リーダーなどで補助的に読むための形式です。閲覧環境によって、数式や図表の表示がPDF版と異なる場合があります。
【本書の位置づけ】
本書は、全3巻構成の第2巻です。第1巻では、剛結合1自由度モデル、等価慣性、状態空間表現、状態フィードバック、PID制御を扱います。第2巻では、弾性結合2自由度モデル、共振、反共振、状態フィードバック、PID制御の限界、二重センサフィードバック、ノッチフィルタを扱います。第3巻では、摩擦、バックラッシ、入力飽和、外乱オブザーバ、離散時間実装、パラメータ同定、鉛直軸と重力補償を扱います。
【注意事項】
本書で扱うモデル、数式、数値例、プログラムは、教育目的の簡略モデルです。特定メーカーの設計指針や、実機設計の安全性、性能、信頼性を保証するものではありません。実機への適用にあたっては、対象装置の仕様、安全規格、機械的保護機構、リミットスイッチ、非常停止系、ブレーキ、フェイルセーフ設計などを別途確認してください。
【受注生産の物理本について】
本書は、電子版に加えて、受注生産形式の物理本も用意しています。物理本は、紙の本として手元に置き、数式や図表を参照しながら読み進めたい方向けの形式です。受注生産のため、ご注文から発送までに時間がかかる場合があります。物理本の仕様、発送時期、電子版の付属有無については、商品バリエーションの記載をご確認ください。















