殿髪 第一話「影武者」
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その顔が、殿に似ていたから。 高遠朱里、21歳。大学の史学科で、記録が途絶えた小藩「葛葉藩」を調べている。 腰まで届く、まっすぐな黒髪。亡くなった祖母が、毎晩梳いてくれた自慢の髪。 城跡の祠に触れた瞬間、雷が落ち——気づくと、そこは四百年前の葛葉城だった。 「殿……!?」 家来たちが息をのむ。若殿・葛葉忠影は昨夜急死したばかり。 七日後には隣藩との和議の儀。殿の死が知れれば、藩は取り潰しになる。 床の間の肖像画には、自分と同じ顔。唇の下のほくろまで、同じ場所にあった。 「今日より貴殿に、殿となっていただく」 かつらでは見破られる。逃げ出せば門で捕まる。 翌朝、大広間で家来たちに肩を押さえつけられ、白布を掛けられる。 御髪番の和鋏が長い黒髪を落とし、剃刀が額の生え際から月代を剃り上げ、 残った髪は鬢付け油でなでつけられて、殿様の髷に結い上げられていく。 平伏する家臣たちの前で、彼女は「殿」と呼ばれ続ける——。 【収録】フルカラー29ページ(表紙+本文28P)/全100コマ 【エンジン】喪失・無力・羞恥。四幕構成(髪への想い→タイムスリップ・瓜二つの肖像・宣告と逃亡 →押さえつけ・和鋏・月代の剃刀・結髪→初めての鏡・家臣の平伏・男の所作・和議の席) 【最終形】月代ちょんまげ(前髪から頭頂まで剃り上げ、殿様風に立てた髷) 【画風】淡い色の青年漫画調 【方針】散髪の屈辱に特化した非性的作品。性的表現・露出はありません。 ※登場人物はすべて成人(18歳以上)です。主人公・朱里は21歳の大学生。 ※本作はフィクションです。葛葉藩・登場人物は架空で、実在の藩・大名家・人物とは関係ありません。
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