満月の夜、美しくあることを生まれながらに定められた魔性の麗人は、骨と色のない薔薇で築かれた城塞都市『薔薇庭園(ゴレスターン)』に攫われる。
薔薇王として迎えられた麗人は自らの内に溢れる美を、美を持たない薔薇庭園の住人に分け与える。
年老いた薔薇、色のない炎、黒い白文鳥、真実を映す割れた鏡といった庭園の住人たちとのやりとりといった穏やかさから一転、麗人の美を受け入れきれなくなった薔薇庭園の綻びが進みゆくなかで、庭園の不幸と麗人の悪意が折り重なる。
美の暴力を目標とした、頽廃耽美掌編連作。
文庫52ページ。
※本文画像はイメージです。挿絵はありません。