この街に咲く薔薇は、強力な麻薬の材料になるらしい──『魔都』ルテティアの管理下にある廃墟街『街衢(がいく)629』にて、貧しい暮らしをしていた若者アランは、友人のジョセフから街に咲いている薔薇を麻薬商人に売る計画に誘われるがままに加担する。だが街の薔薇には不吉な言い伝えがあった。
薔薇に関わった者は死ぬ。
街の人々は頑なに伝承を信じていた。密貿易に加担したアランだが、不安は増していく。
そんなアランの前に黒衣の黒影『薔薇柩』が現れる。密貿易を止める計画への、協力を求めて。
耽美ダークファンタジー。
文庫200ページ。