鷹見啓悟の小遣い帳
- ¥ 320
※8月初旬からの発送予定です A5/24ページ/オンデマンド印刷 2020年7月12日 空飛ぶ鷹はえんじ色にて初頒布 原作時間より少し先の未来のまあまあ平和な社会でホー炎が遠距離恋愛しています。 「轟炎司の小遣帳」※ の続きですが前回を読まなくてもたぶん大丈夫です。 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12139532 こちらと同じコンセプトで、今回はホークスが月に3万円のお小遣いでがんばります。 ========================== ◆7月1日 ぴろぴろ、と軽やかな着信音で懐のスマートフォンがメッセージの着信を告げた。確かめるまでもなく、誰かはわかっている。 これは何かとマメな年下の恋人、ホークスが「俺専用ですよ」とわざわざ設定していったメロディだ。 仕事の用件ならばばヒーローホットライン経由で来るのだから、こちらのメッセージを今すぐに確認する必要はない。 だが、俺はもう反射的に手を伸ばして画面を表示させていた。 [コンビニコーヒー 100円] [29,900円] ふだんの饒舌からは俄に想像がつかない素っ気ないメッセージだ。 (小癪な真似を) 自然と口元が緩みかけてしまい、それを隠すようにぐっと顎に力を入れる。 これは、以前に小遣い制に挑戦していたときの俺が始めたことをなぞっているのだろう。あのときは、いい年の大人が(しかも奴の親のような年齢の俺が、だ ! )決まった小遣いで過ごすというだけで勝手にあれこれ調べて財布まで揃え、なおかつ心配そうな顔をしていた若造へのあてつけのようなものだった。 だというのに、思ったよりも大喜びした上、いちいち楽しそうに返事を寄越してくるものだからつい習慣じみて最後までこの報告は続けられることとなった。 結局は一ヶ月で終わってしまった小遣い生活だが、ホークスが今でも保存していたらしい俺のメッセージをたまに眺めてはにやにやしていることは、知らないことになっている。 ==========================