ロンドンで出会った地下鉄に心奪われ、その人生を賭して日本初の地下鉄を実現した早川徳次。日本の地下鉄史はこれまで「地下鉄の父」こと早川徳次の伝説的なエピソードとともに語られてきた。
だが東京地下鉄道にはもう一人のキーマンがいた。彼の名は中島孝夫。満洲で夢破れた中島は、早川に魅せられて第二の人生を東京地下鉄道に捧げることを決意する。
地下鉄食堂、地下鉄ストア、様々な事業が中島の手によって実現した。しかし常務取締役まで上り詰めた彼は、最終的に早川の元を去り、宿敵五島慶太に接近する。二人の間に何があったのか。地下鉄史から消された男の実像に迫る。