すずりどり vol.7
- ¥ 700
『化石』にまつわったりまつわらなかったりする三本の短編を収録。以下収録作。 1.『夢のキャンパスライフ』なめろう 低学歴、低収入。生活に疲弊した中年男性が通う「夢の」大学。欠落した想像力と教養の中で繰り広げられるキャンパスライフはだんだん現実を侵食していき……底辺節で歌われる、ある男の破滅までの日々。 2.『異星の化石』食用コカトリス 他人の知識や経験を丸ごと移植する技術が実現し、幼子すら専門家の知識を持ちえた未来。発展と引き換えに価値観の大きく変容した世界で、古谷キョウスケは何の因果か旧人類としての自己認識に芽生えてしまった。つきまとう幼馴染から逃げた先、恐竜の化石が生きて徘徊する星で情報生命体とサイボーグのボディに相乗りしてしまった彼が現実逃避のように化石を粉砕する話。 3.『声の化石』うお けい 凍えていく世界で掘った化石を燃やし暖を取るひと。発掘した古代の声で耳を癒すひと。束ねた化石で世界を均し覇道を進むひと。はるか昔に絶滅したひとびとの、地層の隙間に連なる声。