クリアファイルが好きだ。クリアファイルを使っているだけで何だか仕事ができる人間になれたようで気分が良い。整理整頓ができているような気持ちになって心が晴れやかになる。クリアファイルは人類の作り上げた知の頂点だ。そんな素晴らしいクリアファイルに可愛いナナチの見た目が加われば何かウルトラミラクルフォーエバーすんごいものが出来るに違いない。 直ちにグッズ製作の会社を調べる。テンプレートをダウンロードして手持ちのイラストをあしらってクリアファイルのデザインを作成、入稿、支払いをテキパキこなす。 自分でも惚れ惚れする仕事の速さである。やはりクリアファイルを扱う人間は仕事の手際が違うぜ。やめろやめろ、そんなに褒めたって何も出ないぜ。仕方がないなあ、聞くかい？僕の手際の良さに隠されたメソッドを？ そして印刷が完了し発送されたクリアファイルを、ワイン（ノンアルコール）を片手にバスローブを着てふかふかのソファに座って待つこと数日。無事到着。我ながら完璧なペースで仕上がってしまった。こんなにスマートに仕事が出来る自分が恐ろしい。自分とノンアルコールワインに酔いながらダンボールを開封して中身を確認する。そこには言わずもがな完璧な仕上がりのクリアファイルが！ 「、、、え？」 ダンボールの中には50枚のクリアファイルが入っており、上から下まで絵柄が透け抜けてダンボールの底が見えていた。 「、、、あれ？」 1枚手に取り天に透かしてみる。 「、、、透け透け、、、だぁ」 説明しよう。アクリル製品の印刷をする際は、まず白板と言われる白い下地を印刷してから、その上にカラー印刷を施すことにより絵柄が透けることなくはっきりと見えるようになるのである。逆に白板を使用せずに印刷すると半透明状態の印刷となってしまうため、用途によって白板の使用を使い分けるのでる。 そう。与太郎は白板の設定をすっかり忘れてしまい、全てのナナチが隙なく透けてしまったのである。 「あ、、、あ、、、ぁ、、、」 夜空にファイルを透かすと、ナナチの白目部分が透けて真っ黒になり宇宙人のような目を持つ不気味なキメラのようになった。 「すけ、、、すけぇ、、、ぇぇ」 こうして出来上がった透け透けなナナチのクリアファイル。白い紙を挟めば絵柄がはっきり見える。けれど紙を外せば透け透け。もう色んなものを挟んで色んなナナチを楽しんだらいいじゃなああああああいっっ！！！！（やぶれかぶれ） サイズ: A4 透けたナナチ: 17体 発送は定型外郵便を予定しています。