『ちびくんといっしょ』TRPGライツ　SPLL:E193505 リード 舞台は秋の七伏市です。探索者たちは出産をひかえ入院している母の代わりに4歳のちびくんを病院近くの別荘で預かることになります。周りでは不審火が相次ぎ……。探索者たちは私利私欲のために神話生物を利用し殺人すらいとわない存在と戦うことになります。 ※注意 このシナリオは以下のミステリー小説のストーリーを参考にしています。一部ネタバレが含まれます。ご注意ください。 『砂漠で溺れるわけにはいかない』ドン・ウィンズロウ著 東京創元社 2006 年 概要 秋の七伏市では不審火により火事が増えていました。人の住んでいない別荘や倉庫から出火し燃えてしまう事件が多発していました。火災保険を掛けた自ら所有する物件に故意に火をつけて保険金をだまし取る保険金詐欺いわゆる「焼け太り」です。日本に難民として来たと主張する外国人と、火災保険の訴訟に強い弁護士の組み合わせは強力でした。外国人差別と言われるのを恐れる保険会社から何度も多額の保険金を得ていました。 　外国人の男は神話生物の炎の精／炎の吸血鬼を召喚し、別荘や倉庫に近づかずに火をつけることで鉄壁のアリバイを作り出していました。現場で放火をした証拠がない限り保険金詐欺を立証するのは難しいからです。偶然にもその神話生物を召喚して放火現場を見てしまったちびくんに魔の手が迫ります。現場を見られたからには目撃者は消すしか無いからです。探索者達はちびくんを守ることができるのでしょうか。 1.はじめに 　このシナリオは“新クトゥルフ神話TRPGルールブック”（以下“新ルールブック”）と“クトゥルフ神話TRPGルールブック”（以下“ルールブック”）に対応しており、探索者1～2人向けにデザインされています。プレイ時間は探索者の作成を含まずに2時間から3時間程度でしょう。探索者たちは出産をひかえて入院するちびくんの母からちびくんの世話を頼まれています。探索者たちの全員がちびくんの母の親戚である必要はありません。このシナリオで特に有用な技能は〈目星〉です。別荘がある地域は森があるため、〈追跡〉があるのがよいでしょう。このシナリオは、依頼を受けて現地でちびくんと暮らしている内に事件に巻き込まれ、その後に調査や情報収集をしてから準備を行う展開を想定しています。そのため、2日以内にクライマックスを迎えるしょう。クライマックスでは戦闘が避けられないことを伝えておいた方がいいです。また、このシナリオでは新ルールブックの選択ルール「幸運を消費する」(“新ルールブック"95ページ参照)を採用することを推奨します。探索者が1人であっても物語をスムーズに進められるようになるでしょう。 主な参考文献 『砂漠で溺れるわけにはいかない』ドン・ウィンズロウ著　東京創元社　2006年 『火災と消火の科学』　中井 多喜雄著 日刊工業新聞社　2011年 『保険論』広島修道大学　2000年 『図解よくわかる地震保険』永井　隆昭著 日刊工業新聞社　2011年