MIDI 2.0 アーキテクチャ ガイドブック [DL版]
- ダウンロード商品¥ 1,000
![MIDI 2.0 アーキテクチャ ガイドブック [DL版]](https://booth.pximg.net/2db55129-f78d-47b9-8082-df327bff5473/i/6978593/aa068e70-366c-4558-a79d-13cf58f2e327_base_resized.jpg)
MIDI 2.0 アーキテクチャ ガイドブック刊行によせて https://atsushieno.hatenablog.com/entry/2025/05/11/194735 ※印刷版の公開は 技術書典18オンライン の終了(6/15)をお待ち下さい 以下まえがきより: 本書は主にMIDI 2.0のシステムおよびアプリケーションの開発者が、オーディオアプリケーションが動作するプラットフォームにおいて、MIDI 2.0をサポートするために必要になる技術スタックの全体像を説明し、本書執筆時点ですでに存在する、あるいは今後必要になるソフトウェア構成要素を総合的に解説するものです。特に次のような疑問を解消できることを目的としています。 - MIDIが現在の楽曲制作ワークフローのどこで使われているのかわからない - MIDI 2.0が現在の楽曲制作ワークフローの何を具体的に改善できるのか見えてこない - MIDI 2.0の何がすでに実現していて、何が実現しそうで、何が単なる願望なのかわからない 本書は筆者が2021年に発行した「MIDI 2.0エコシステム構築術」(以降「エコシステム」)で解説した技術領域を、対象をプラットフォームも含むシステム全体に拡大して、フルスクラッチで書き直しました。姉妹書のひとつである「MIDI 2.0 UMPガイドブック」は2023年にMIDI 2.0仕様が刷新された際に、内容を追記するかたちで対応できましたが、「エコシステム」で解説した領域は、当時存在しなかった領域の多くがその後の4年間でかなり実装されてきており、また2023年のMIDI 2.0仕様の抜本的なアップデートによって技術的に古い内容になってしまったので、全面的に仕切り直しています。 本書は主にDAWを使用した楽曲制作のワークフローを念頭に置いて、MIDI 2.0を適用する、あるいは適用する技術的可能性がある技術領域を、システム、DAWやMIDIシーケンサーなどのアプリケーション、オーディオプラグイン、MIDIデバイスの4区分に分けて、それぞれ解説します。MIDI 2.0のエコシステムは、これらの領域を包括的に解説できる程度に成熟してきているということを、本書の全体を通して示していきます。 筆者は米MIDI協会(MIDI Association)のメンバーでも日本のAMEI(音楽電子事業協会)のメンバーでもなく、本書もMIDI 2.0の広告ツールではありません。本書をすべて読み終えても、読者の技術領域ではMIDI 2.0を採用する意味を見いだせず「やはりMIDI 2.0を採用する価値はない」という結論になるかもしれません。本書の目的は、読者がMIDI 2.0について正しい期待値をもって、そこに一定の価値があることを理解してもらえることです。 「エコシステム」執筆当時は、MIDI 2.0のアプリケーションを構築するソフトウェア基盤はほとんど存在せず、多くの領域を自作ライブラリで実現していたため、同書でも自作ソフトウェア・スタックを唯一解として自家撞着のように解説せざるを得なかった部分が多数存在しましたが、本書ではその必然性もなくなりました。本書ではその片鱗をいくつか歴史的記録として残しますが、基本的には本書執筆時点での現状をもとに解説します。 ## 本書の構成について 第1章「MIDIシステムの全体像とMIDI 2.0」は総論です。MIDIが現代の音楽制作のどのソフトウェア領域で使われているのか、それらを開発するために必要になるプラットフォームAPIやライブラリの状況はどうなっているか、MIDI 2.0を採用する意義がどこにあるのか等を解説します。 第2章「プラットフォームのMIDIシステム設計」では、OSプラットフォーム開発者のために、MIDIをサポートするために必要になるソフトウェア構成要素を解説します。読者の大半にとっては、OSプラットフォーム開発者がMIDI 2.0をサポートするために何をやってきたか(何をやっているか)を把握するための章となるでしょう。 第3章「MIDIアプリケーションの開発基盤」では、MIDIアプリケーション開発者のために、MIDIデバイスアクセス、UMPデータ操作、MIDI-CIを用いたデバイス間のやり取り、MIDI楽曲データの作成と再生、といった場面で考慮すべき技術要素と有用なライブラリについて解説します。 第4章「DAWとオーディオプラグインのMIDI 2.0統合」は、MIDI 2.0採用以前のオーディオプラグインがどのようにMIDIを活用してきたかを解説し、2025年内くらいのスパンで実現する見込みであるMIDI 2.0の採用がもたらす技術的展望などを扱います。 第5章「MIDI 2.0デバイスの作成」は、主に仮想MIDIデバイスを作成することで、現在MIDI 2.0アプリケーションのエコシステムで不足しているMIDI入力デバイスや、MIDI 2.0音源デバイスによってDAWのワークフローや楽曲データを標準化するポテンシャルについて議論します。 ## 前提知識・資料 本書の主要な想定読者はMIDIを使用するDAWなどのソフトウェア技術者(アーキテクトやプログラマー)であり、その次に音楽ソフトウェア技術に関心のある一般的なソフトウェア技術者を想定しています。プログラムは少しだけ擬似コードで登場します。 UMP、MIDI-CIといったMIDI 2.0仕様がどのようなものであるか、本書で入念に解説することはありません。これらについては、以下の書籍ですでに入念に解説してあります。 - 「MIDI 2.0 UMPガイドブック(第2版)」(2023年、オーディオプラグイン研究所) - 「MIDI 2.0 MIDI-CIガイドブック」(2024年、オーディオプラグイン研究所)