村娘あがりの娼婦ですが、身請けされて幸せです
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都会の夜は、思っていたほど眩しくなかった。 村から出てきた少女は、気づけば「高級娼婦」と呼ばれていた。 触れない客。値札のついた自分。 それでもここは通過点のはずだった。 ──身請けの話が来るまでは。 救いでも、同情でもなく。 ただ「君といる時間を、金で買うのが嫌になった」と言った人。 選ばれる物語じゃない。 わたしが、あなたを選ぶ物語。 静かで、少しだけあたたかい、 “通過点の出口”の話。 ・抜粋サンプル 都会の夜は、思っていたほど眩しくなかった。 「──本日も、お疲れさま。リリア」 マダムがグラスを拭きながら、わたしの名前を呼ぶ。 本名じゃない。店に来てからもらった、商品名みたいな名前。 「はぁい。今日あと何人?」 「もう終わりよ。あんた今夜はよく働いたわ」 そう言ってマダムは、ぽん、と帳簿を閉じた。 中身は見せてもらえないけれど、 そこには田舎娘だった頃のわたしには想像もつかなかった金額が並んでいるのだろう。 それでも胸は特に動かない。 ──ここは通過点。 そう思っているはずなのに、 ある日、マダムに呼び出されて言われた。 「リリア。あんた、身請けの話が来てるわよ」 通過点の出口は、思っていたより突然だった。
