残滓の破片
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『残滓の破片』作品紹介 『残滓の破片』は、『残響の薬』の後日譚にあたる物語です。 主人公は、薬学と理系的な思考を持つ女性、遠星いろ葉。 彼女は誰かを劇的に救う英雄ではなく、観察し、記録し、危険を減らし、必要なら外部につなげようとする人間です。 そして、いろ葉のそばには如月凛がいます。 凛はかつていろ葉に救われた存在ですが、決して「完全に治った人」ではありません。 依存も、独占も、危うさも残したまま、それでも少しずつ、誰かを支える方法を覚えようとしています。 本作で描きたかったのは、わかりやすい救済ではありません。 人は、助けを求めてくれるとは限らない。 問題が見えたからといって、必ず届くとは限らない。 善意や普通さの中に、本人の輪郭が薄れていくこともある。 いろ葉は、薬学・文献・観察・再現性といった自分の得意な道具で、目の前の違和感を読み解こうとします。 しかし、人間の苦しみは、数値や症状だけでは捉えきれないことがあります。 そこで彼女は、概念や哲学、言葉にならない気配にまで手を伸ばしていきます。 これは、「救える物語」ではなく、 「届くものと、届かないもの」を見つめる物語です。 それでも、何もしなかったわけではない。 届かなかったものを、なかったことにはしない。 自分のできる範囲を間違えず、ただ、その範囲までは手を伸ばす。 『残滓の破片』は、そんな苦味と熱を残す、いろ葉と凛の物語です。
