【7/10までの予約特価】ドーナツと双眼鏡──短い書評コレクション③(ノンフィクション篇)
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短い書評コレクションの最終巻はノンフィクション篇。狭い意味での〝ノンフィクション文学〟からはむしろ距離を置き、小説(フィクション)以外のあらゆる本についての書評が満載! 科学エッセイ、人物評伝、読書論/書物論、女性史、写真集、ファンタジー論などなど、50冊以上の本をめぐる〈短い書評〉を収めました。 (B6判・124ページ 無線綴じ1600円+税→【7/10までの予約特価】税込み1400円)
目次
ドーナツと双眼鏡──はじめに 7 荒井裕樹/生きていく絵──アートが人を〈癒す〉とき 12 内田洋子/モンテレッジォ──小さな村の旅する本屋の物語 14 シャルロット・ペリアン/シャルロット・ペリアン自伝 16 田尻久子/みぎわに立って 18 吉良智子/女性画家たちの戦争 20 今橋映子/フォト・リテラシー──報道写真と読む倫理 22 畠山直哉/気仙川 24 アーロン・スキャブランド/犬の帝国──幕末ニッポンから現代まで 26 アビゲイル・タッカー/猫はこうして地球を征服した──人の脳からインターネット、生態系まで 28 末延芳晴/寺田寅彦 バイオリンを弾く物理学者 30 レベッカ・ソルニット/説教したがる男たち 32 橋本治/あなたの苦手な彼女について 34 森まゆみ/暗い時代の人々 36 カーク・ウォレス・ジョンソン/大英自然史博物館 珍鳥標本盗難事件──―なぜ美しい羽は狙われ たのか 38 鹿島茂/神田神保町書肆街考──世界遺産的〝本の街〟の誕生から現在まで 40 ブルンヒルデ・ポムゼル、トーレ・D・ハンゼン/ゲッベルスと私──ナチ宣伝相秘書の独白 42 カロリン・エムケ/憎しみに抗って──不純なものへの賛歌 44 スコット・アンダーソン/ロレンスがいたアラビア 46 フィリップ・サンズ/ニュルンベルク合流──「ジェノサイド」と「人道に対する罪」の起源 48 千野帽子/物語は人生を救うのか 50 島崎今日子/安井かずみがいた時代 52 寺山修司、山田太一/寺山修司からの手紙 54 加藤典洋/もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために 56 矢野久美子/ハンナ・アーレント──「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 58 木佐木勝/木佐木日記──『中央公論』と吉野・谷崎・芥川の時代 60 北沢夏音/Get Back SUB!──あるリトル・マガジンの魂 62 コーリー・スタンパー/ウェブスター辞書 あるいは英語をめぐる冒険 64 井田真木子/井田真木子著作撰集 66 津野海太郎/百歳までの読書術 68 石橋毅史/口笛を吹きながら本を売る──柴田信、最終授業 70 柳瀬尚紀/ユリシーズ航海記──『ユリシーズ』を読むための本 72 荒川佳洋/「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝 74 小泉恭子/メモリースケープ──「あの頃」を呼び起こす音楽 76 津野海太郎/読書と日本人 78 前田勉/江戸の読書会──会読の思想史 80 橋本治/福沢諭吉の『学問のすゝめ』 82 星野博美/みんな彗星を見ていた──私的キリシタン探訪記 84 森まゆみ/青鞜の冒険──女が集まって雑誌をつくるということ 86 戸川安宣(空犬太郎 編)/ぼくのミステリ・クロニクル 88 紀田順一郎/蔵書一代──なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか 90 森岡督行/荒野の古本屋 92 小熊英二/生きて帰ってきた男──ある日本兵の戦争と戦後 94 植田実/真夜中の庭──物語にひそむ建築 96 湯川豊/須賀敦子を読む 98 松山巌/須賀敦子の方へ 100 レベッカ・ソルニット/ウォークス──歩くことの精神史 102 山崎佳代子/パンと野いちご──戦下のセルビア、食物の記憶 104 六車由実/介護民俗学へようこそ──「すまいるほーむ」の物語 106 迫川尚子/食の職── 小さなお店ベルクの発想 108 藤井聡子/どこにでもあるどこかになる前に──富山見聞逡巡記 110 モリー・グプティル・マニング/戦地の図書館──海を越えた一億四千万冊 112 阿部公彦/事務に踊る人々 114 片岡義男/日本語の外へ 117 あとがき 121
あとがき
本書は破船房からすでに刊行している『栞と羅針盤──短い書評コレクション①(国内小説篇)』、『錨と抽斗──短い書評コレクション②(海外小説篇)』に続く第三弾である。 先の二作は文庫本サイズの薄い本だったが、「ノンフィクション篇」となる本作は収録する書評数を大幅に増やし、五十三本を収めた。判型についても思うところがあり、B6判にあらためた。ひとまず「短い書評コレクション」はこれにて完結である。 『ドーナツと双眼鏡』というタイトルの意図は、巻頭に置いた文章の最後に記したが、前二作が思いのほか売れないため、漢字の組み合わせではなく軽いカタカナ語を使いたかった、という別の理由もある。そのため「船の装備と文房具を組み合わせる」という当初のコンセプトを逸脱することになってしまったが、そんなことは誰も気にしないだろう。実用的な出版論エッセイの『もなかと羊羹』が好評だったことも、タイトルに甘い食べ物の名を入れる誘惑のひとつとなった。 それにしても、書評集を編むのはなんと難しいことだろうか。 巻頭の文章や、これまでの「短い書評コレクション」①②でも触れたとおり、本書のもとになっているのは『婦人公論』をはじめとする雑誌や新聞、通信社に求められてこの二十年ほどのあいだに書いた厖大な書評のアーカイブである。そこから比較的に出来のよいもの、愛着のある本について書いたものを選び出し、一定のコンセプトで配列していくのだが、今回はその配列で大いに悩むことになった。 書評の最後に刊行年度と出版社名を添えてあるので、それぞれの原稿がいつ書かれたのかはわかるようになっているが、必ずしも執筆時期の順に並んでいるわけではない。かといって、特定のテーマや分野ごとにまとめられているかといえば、まとまっている部分もあれば、バラバラのところもある。基本的に一人一作で編んでいったが、橋本治、津野海太郎、森まゆみ、レベッカ・ソルニットの四氏は私が熱心に読んできた書き手ということもあり、各二作の書評を収めた。 いちばん古い書評は二〇〇八年、もっとも新しい書評は二〇二四年に書いたものだが、単行本での刊行後に文庫や新装版で復刊されたものについては、その版についてもクレジットした。 十八年にわたる歳月が経つ間に、編集者として仕事をご一緒したことのある著者たち──橋本治さん、紀田順一郎さん、植田実さん──が亡くなられた。その他、初出時の時代背景を感じさせる書評もいくつかあるが(戦後七十年の節目など)、タイムスタンプのある書評はそれ自体がその時代の記憶装置でもあるので、この本に収める際の文章の手直しは最小限にとどめた。 あらためて通読して気づくのは、巻頭の「ドーナツと双眼鏡」で述べた広義のノンフィクション概念に照らしたとき、発行元としてノンフィクション文学賞をもつ大手出版社よりも、個性的な中小出版社の本に対する書評が並ぶことだ。文庫化の際に版元が変わった本もあるが、多様なノンフィクションの裾野を支えているのが中小出版社の存在であることをあらためて確認した。 この二十数年、同時代の文芸作品について論じることを仕事の柱にしてきたが、ノンフィクションを読み、評するのは文芸作品に対するのと同様、ときにはそれ以上の愉しさとやり甲斐があった。当然、文芸作品の読み方にも、大きな影響を受けてきたように思う。 ノンフィクションを読む習慣がすでにある人はもちろんのこと、文芸作品をとりわけ愛好する読者にも、本書でとりあげた本や著者の魅力が、少しでも伝わってくれたらと願っている。


















