フルートから見た音楽史 Vol.1 ― 楽器、名曲、その時代を生きた人々【PDF・89ページ】
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バロック・フルートを作ったのはオトテール家である。そう習いますし、僕もそう説明してきました。 ところが、その説の物証になっていた楽器のうち二本は、十九世紀に作られたコピーだったことが分かっています。1996年に発表された論文で、実際に楽器そのものが調べ直されました。オトテール家が実在の一族であることも、1707年の教則本も本物です。曖昧になったのは「一族が発明した」という一点だけでした。 この本は、そういう話を24集めたものです。 きっかけは、毎週配信しているメルマガでした。「フルートで学ぶ音楽史ストーリー」というコーナーを何年か続けているうちに記事が六十本近くたまって、せっかくだから一冊にまとめようと読み返したところで、手が止まりました。年号や人の名前がやたらとたくさん出てくるのに、その出どころがどこにも書かれていない。これは本にして売っていいものだろうかと、正直なところ迷いました。 ですので、一件ずつ確かめるところから始めました。256の記述を書き出して、どこまで裏が取れるかを見ていく作業です。結果は、思っていたよりずっと面白いものでした。まるごと嘘だった、という話はほとんどありません。曖昧だったのは、たいてい「誰が・いつ・どこで」の組み合わせのほうでした。人も出来事も実在するのに、その結び方だけがずれている。読んでいて、いちばん気づきにくい形だと思います。 そして、確かめられなかったものが残りました。よく語られているのに、どうしても出どころにたどり着けない話です。それらは消さずに、「あの説は、どこまで本当か」という囲みに入れて、確かめられなかったこととして書いてあります。 ■ 各話の終わりに「この話の出どころ」があります 全24話すべてに、その話をどの資料に拠って書いたのかを短くまとめた欄を付けました。楽譜そのもの、フランス国立図書館やIMSLPの原本資料、大学に提出された学位論文、博物館や財団の公式記録、出版社の校訂報告などです。確かめられなかったところは、確かめられなかったと書いてあります。 巻末には、どこまで調べてどこは調べていないのかを一章分書きました。ニューグローヴ音楽事典のような有料の専門事典には当たっていません。そこも正直に書いてあります。 ■ 収録内容 全4部・24話(A5判・89ページ/PDF) 第1部 楽器が今の形になるまで 01 ベルサイユで生まれたフルート(オトテール一族) 02 ベームの理想をねじ曲げたもの(オープンG#とクローズドG#) 03 歌口はどう決まってきたか 04 巻き管という技術 05 消えた「愛のフルート」(フルート・ダモーレ) 06 尺八とフルートのあいだ(オークラウロ) 第2部 名曲の出どころ 07 天国はどう鳴るか(グルック「精霊の踊り」) 08 王とバッハ(フリードリヒ大王と「音楽の捧げもの」) 09 一本のフルートで合奏する(テレマン「無伴奏フルートのための12の幻想曲」) 10 この曲は本当にヘンデルか(フルート・ソナタと真贋問題) 11 Cisから始まった(「牧神の午後への前奏曲」) 12 標題はどこまで語るのか(ライネッケ「ウンディーネ」) 第3部 フルートを変えた人たち 13 左構えの弟(ドップラー兄弟) 14 左利きのトラヴェルソ名手(ミシェル・ブラヴェ) 15 革命期パリの木管(フランソワ・ドヴィエンヌ) 16 『ソノリテについて』の真実(マルセル・モイーズ) 17 作曲家に寄り添った人(オーレル・ニコレ) 18 フルートを売れる楽器にした男(ジャン=ピエール・ランパル) 第4部 フルートの居場所 19 教則本が映す十八世紀(クヴァンツ『フルート奏法試論』) 20 教授職が交代するとき(アルテスからタファネルへ) 21 楽譜屋が需要を作った(ブライトコップフ) 22 オーケストラが巨大化した日(ワーグナー) 23 同族だけで合奏する(フルート・オーケストラの誕生) 24 黒船が吹いていた笛(日本への伝来) 一話ずつ独立していますので、目次を眺めて、気になった題から開いていただいて大丈夫です。 ■ QRコードで、演奏動画もすぐに 7つの話には、その話に出てくる楽器や曲を僕が実際に吹いている動画へのQRコードを添えました。スマホのカメラで読み取るだけで再生できます。トラヴェルソ、巻き管のフルート、精霊の踊り、音楽の捧げもの、ハンガリー田園幻想曲、牧神の午後への前奏曲、そしてペリーが持ち込んだファイフです。文字で読んだ楽器の音が、その場で確かめられます。 ■ こんな方へ ・フルートの歴史を、出どころつきで読みたい方 ・「昔こう聞いたけれど、本当だろうか」と引っかかったことのある方 ・レッスンや本番のトークで、曲の背景を話す機会のある方 ・楽器の構造がなぜ今の形なのかを知りたい方 ・フルートは吹かないけれど、音楽史の読み物として楽しみたい方 ■ 既刊との関係 シリーズ既刊「フルート上達Q&Aライブラリー」(Vol.1〜Vol.5+別冊ピッコロ編)は、練習や奏法の困りごとに一問一答で答えるQ&A集です。「フルート対話ライブラリー」(Vol.1・Vol.2)は、奏者が舞台の上で何を考えているかをたどった対談集です。 この「フルートから見た音楽史」は、そのどちらとも性格が違います。吹き方の本ではなく、楽器と名曲と人の来歴をたどる読み物です。内容の重複はありませんので、どこから読んでいただいても大丈夫です。**フルートを吹かない方にも読んでいただける、はじめての巻**でもあります。 ■ ご購入にあたって ・形式:PDF(A5判・89ページ) ・スマートフォン、タブレット、パソコンでご覧いただけます ・印刷してお使いいただいても大丈夫です ・PDFですので、記述に誤りが見つかった場合は版を更新します。お気づきの点があれば、ぜひ教えてください ・データの性質上、ご購入後の返品・返金は承っておりません。ご了承ください いつも吹いている楽器が、どういう来歴でいまの形になったのか。ぜひ、のぞいてみてください。 フルート奏者・講師 立花 雅和(Music Rela)



