コンセプトストーリー

　機嫌を損ねた不死鳥が部屋の隅で丸まってじっとりとこちらを見ている。可愛い。 「ねえ、機嫌直してよ。ちょっと抜け毛もらっただけじゃん。……あ、抜け羽か」 無言の抵抗とばかりに全然人型に戻ってくれない。そういうところも可愛いけれど。 「ね、わたしのこと、嫌いになっちゃった……？」 眉尻を下げて首をかしげてみせると、マルコはようやくボボッと音を立てて人型に戻ってくれた。こういうところ、マルコは結局優しいよなあと思う。 「……人の羽根でアクセサリー作って売ろうなんざ狂気の沙汰だよい」 「けどね、ナワバリですごい売れてるんだよ！　生産が追い付かないくらい」 得意げに言うとマルコはますます複雑そうに顔をしかめる。 「お願い！　貯金が溜まるまでの辛抱だから」 「……金が要り用なのかよい」 いつまでも仏頂面なマルコだったけれど、「マルコの誕生日までに貯めたいんだよね」って正直に言えば黙り込んで、ますます眉間のしわが深くなっちゃった。