わずか永遠の祈り
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「わずか永遠の祈り」P52/400円/文庫 (内容サンプルはこの記事の下方にあります)
紹介文
---------- 斑目貘×切間創一(ハル/蜂名直器) ハル、蜂名直器、切間創一 それぞれの時系列の「ハル」と貘さんのラブストーリーです。 pixiv公開中「終末のサヨナラ」とは連続した世界観になりますが、それぞれ単独でお読みいただけます。 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9815301 性描写あり。成人向です
月曜日の誘拐犯
---------- 「あの男だ。つれて来て」 コンビニから現れた白いスーツ姿を確認し、僕は手早く黒服に告げた。 そこからはあっという間だった。屈強な男たちが道ゆく彼を取り押さえ、セダンの後部座席へ有無を言わさず押し込んだ。おそらく、声を上げる余裕もなかっただろう。 あまりにも簡単に拉致できてしまったので、少しあきれながら「ちょっと無用心なんじゃない?」と僕は言った。 「僕らが刺客だったらもう死んでるよ、君」 「……え、ナニコレ? 誘拐されたの?」 自分の置かれた状況をようやく把握できたらしく、彼はぽかんと口を開けて脱力している。 「こんにちは、斑目貘さん。いくつか君に聞きたいことがあるんだ」 その言葉を合図に、残っていた者もすべて車外へ退出した。僕と彼のふたりきり。至近距離で見ても、斑目貘はとびきりのハンサムだった。 「あのねえ……。用事があるなら、まず先に電話してくんない?」 「君の番号を知らないし、調べるのも面倒だったから」 さらったほうが早いと思って。僕が言うと、信じられないものを見る目で彼は大きく肩をすくめた。 「あんたらって、ホント野蛮だな」 「どういたしまして。ねえ、この写真の男は君だよね?」 まだ何か言おうとする彼を制し、僕はさっそく要件を切り出した。 それはどこかペントハウスらしき場所で、僕と彼が並んで写っている自撮りのポートレートだ。問題はフレームの中のふたりがキスをしていて、僕のほうにまったく身におぼえがないという点だった。 「あーこれね。いやあ、なつかしいショットだなあ」 「どうやって庁舎に侵入したのか知らないけど、君の仕業だろ」 この写真は内閣府の、すなわち蜂名直器のデスクで見つけたものだ。引き出しにはもちろん鍵がかかっているし、職員以外の出入りのさいは厳重な通行チェックがある。イタズラにしては少しばかり手が込みすぎていた。 つまり、これは何らかの示威行動に他ならない。いつでもお前の行動を把握しているぞという、大胆不敵なメッセージだ。 (第二話「月曜日の誘拐犯」冒頭)