白い彼方
Physical (worldwide shipping)
- Ships within 7 daysPhysical (direct)800 JPY
Physical (ship to Japan)
- Ships within 7 daysPhysical (direct)800 JPY

友野茂隆著 1998年刊行 293ページ (あらすじ) 私は思い出の場所を訪ね、過去と現在を行きつ戻りつする。学生街に行き、20年前の都会の大学浪人の生活を思い出す。私は医学部を受験して不合格になり、都会に下宿して予備校に通った。 高校時代に英語の弁論大会に参加し、女性Nに出会い、ラブレターを送った。デートを重ね、相手の両親にも紹介された。交際を保留して受験勉強に入った。 私は学生街から下宿のあった住宅街に行く。自販機を見て、20年前の老犬を思い出す。受験の苦悩、同級生の自殺を回想する。 私は駅のホームを見て、20年前の同級生Tとその友人Sと交際相手を思い出す。友人Sは仲睦まじかった女性を見て、私は自分とNの希薄な関係を思う。やがてSの恋は破綻する。 私は医学部から文学部に志望先を変えた。受験の旅行で車窓の雪景色の中にNの幻影を見た。私は銭湯を見て、20年前の下宿の仲間Kとその友人と交際相手を思い出す。 カップルは下宿を訪れ、秀才の交際相手は夜更かしして、私の布団で一人で寝た。私は八百屋を見て、20年前の下宿の隣の少女を思い出す。 少女は私の恋愛の苦悩の中でNと二重写しになった。私は20年前に少女と幼児と出かけた公園を思い出し、その公園を見たくて付近を探し回る。 探し当てて、あの時に味わった上昇感を思い出す。受験の苦悩、恋愛の苦悩を消化させる感覚だった。少女は寄り添ってきて、この前のデートで肩を抱こうとして断られたNを思い起こさせた。 性欲と恋情が錯綜した。少女は結婚の話をして、私は我に返った。私は少女たちと一緒に公園を離れてたどった同じ道を、駅に向けて歩き始めた。