究極の先輩VS至高の後輩合同
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2020/11/22 第31回文学フリマ東京にて頒布した『究極の先輩VS至高の後輩合同』がネット通販開始 6人の寄稿者がそれぞれ『究極の先輩』『至高の後輩』をテーマに珠玉の短編を書き下ろしました。 164ページ、1000円+送料
作品紹介
◯くらんだ視界と成長痛 /水喰ずみ(究極の先輩 壱番手) ――いつもいつも、先輩と見紛う影を見るたびに、息を詰めてしまっていた。詰めた息は、ほんの僅かな時間、肺をめぐって、すぐ吐き出される。どうせ違う、あの人じゃない。今回だって、前回だって。一瞬ぴかりと脳裏をよぎる「もしかして」は、すぐに潰えて苦笑へと変わる。だから、今日だって、当然そうなると思っていた。 ◯先輩を、どこまでも /兎谷あおい(至高の後輩 壱番手) ――「お手本」でもいいし、ちょっとかっこつけた言い方なら「メンター」にもなるかもだけど。目の前の世界の広さに目がくらんで動けなくなっているわたしのずっと前を走って、「こっちにはこんな楽しいことがあるぞ」って背中で教えてくれるような、そんな「先輩」を。 ずっと、心のどこかで、探していて。 ◯デイアフター・ロマンチスト /櫂梨鈴音(究極の先輩 弐番手) ――「大事なものは?」「遊び心」 これまた教えられた通りに謎の問いに謎の答えを返す。それからすぐに鍵を外す音がして扉が開くと、そこには一人の少女が立っていた。 少女……先輩はいつものように微笑みを浮かべてこう言った。 「やあ、少年。今日は何をして遊ぼうか」 ◯ハートブレイク・ラブコメディ /大宮コウ(至高の後輩 弐番手) ――はたして。 少女の頼み事は、想像とは大いに異なるものだった。 「私の心を、壊して欲しいの」 その言葉の真意は、いまはまだ、わからない。 ◯究極の先輩を落とすために落ちよう /林きつね(究極の先輩 参番手) ――言葉如き、様々な欲求に呑まれてしまいそうだった。だから、俺は足を進めた。いっそ、溺れてしまえと、行き着くとこまで行き着いてしまえしまえと、絶世の美女の身体を抱き寄せて、その唇を奪った。 「んっ……」 耳に入ってきたくすぐるような甘い声は、きっとわざとなのだろう。 だから俺は、幸運にも最後まで誰も訪れなかった放課後の多目的室で、千然瞳羽野という存在を貪った――。 ◯『あなたと共に』 /音無蓮(至高の後輩 参番手) ――『二〇××年七月三〇日 後輩ドチャ至高日記 僕たちは奇跡的な出会いを果たす。それは類まれな美しい造形だった。その曲線美に長さ、色素の薄さと張りのある質感ときたらグラビア・アイドルも喚いて逃げ出すくらいだろう。あんな、ドチャクソ至高リティな太腿を見せられちゃったら、逃げ出すしかないよね……』 ――キッッッッッッツ。 ――先輩の日記は素直に気持ち悪かった。
この本の楽しみ方
普通に読む分にも、もちろん面白いです! しかし、この本に掲載されている作品は『テーマ』を推理しながら解いていくと一層面白いでしょう! 各作品はそれぞれ、 『究極の先輩とはなにか?』 『至高の後輩とはなにか?』 という問いに対するアンサーとして描かれた作品です。そして、作者のアンサーは各作品の末尾に載っています。 読者の皆様は、作者の想定した『究極の先輩』/『至高の後輩』が何なのか考えながら物語を紐解くことができます。