灰色城綺譚童話味シナリオ集「人魚の眠りは白夜まで」
- Digital800 JPY

潮が満ちるまで 百年が経つまで 吹雪が止むまで 月がのぼるまで 呪いは解けて、呪いにかかる 1.『ミレイアの「人魚」』 人魚の絵が飾られた屋敷で声を奪われた。 人魚の絵は潮が満ちるまでに、と言ってナイフを渡した。 人魚姫×西洋×婚約者 2.『いばらの城は眠り、』 100年の眠りについた姫が未だ眠ると噂の城へ、優しく美しく賢い子供達が探検に行く。 眠り姫×西洋✕友達 3.『終わらぬ白雪』 ポスターの写真撮影に訪れた城で、白雪“役”が死体で見つかる。 吹雪は、まだ止まない。 白雪姫×現代×劇団 4.『月満つ輝夜』 美しいと評判の輝夜の姫の元へ、月からの使者が迎えにくる。 共に月へ帰りましょうと。 輝夜姫×昔話×家族 それぞれお姫さまの童話にちなんだ灰色城綺譚のシナリオです。 TALTOでも本文を無料公開します! (ミレイアの「人魚」といばらの城は眠り、はTALTOで無料公開中です(2024/08/09現在)。他2本の内容を確認されたい方は少々お待ちくださいませ!) 誤字脱字があれば教えてください。あんまり酷ければ修正します。 同人サークルかりかりうめ様オリジナルTRPGシステム『灰色城綺譚』の自作シナリオです。 良識の範囲内でご自由に使ってください。
ミレイアの『人魚』
亡き母の遺した人魚の絵が、囁く。 【あらすじ】 美しい人魚のいる屋敷がありました。 額縁の中の人魚は泡の声でPC1へ語りかけます。 「願いを叶える代わりにその声を。 返してほしくば、人魚の心臓を突き刺せ」と。 目を覚ました傍に、小さなナイフと、 「3日後の夜、潮が満ちるまでに」 というメモがありました。 灰色城綺譚 『ミレイアの「人魚」』 【招待状】 PC1 あなたはPC2の婚約者だ。 不思議な夢を見て、翌朝目を覚ますと声が出なくなっていた。 PC2 あなたはPC1の婚約者だ。 声が出なくなってしまったPC1を心配して駆けつけた。 PC3 あなたはPC1の家の使用人だ。 今のPC1が声が出ずとも不自由なく過ごせるようにするのが仕事だ。 【舞台概要:マーミレイア城】 物語の舞台となるマーミレイア城は、海のすぐ側に建つ城だ。遠目に見ればまるで水上に浮かんでいるように見えるだろう。かつては貴族の住居や武器庫、牢獄としても使われたが、現在では蒐集家であるPC1の父が買い上げ、武器庫は物置に、牢獄は開かずの間になっている。 城の造形は美しいが、現在はどうにも寂れた印象を受ける。城内は改装が施され、至る所に美術品が飾られており、『人魚の絵』は画廊の最も目立つところに飾られている。 元々この城にはかつてこの辺りを治めていた貴族の名がついていたが、PC1の父が買い上げた際に美しい海と妻の名を取り、マーミレイア城と名付けた。しかし塩害によって風化してしまった壁の色を見て、人々はこの城を『灰色城』と呼ぶ。
いばらの城は眠り、
呪われた姫はいばらの扉の向こうで眠る。 【あらすじ】 美しい姫の眠る城がありました。 100年の眠りにつく呪いをかけられて、いばらに覆われた城で眠っています。 人々に愛された姫が王子のキスで目覚めることもないまま、もうその100年が経とうとする頃。 大人よりも小柄なその体でいばらの隙間を縫い、3人が眠り姫の城へ探検にきたのでした。 【招待状】 PC1 眠り姫の城を見に行こうと言い出したのはあなただ。 あなたは3人の中で一番優しい。 PC2 あなたはPC1に眠り姫の城へ行こうと誘われた。 あなたは3人の中で一番美しい。 PC3 あなたはPC1に眠り姫の城へ行こうと誘われた。 あなたは3人の中で一番賢い。 【舞台概要:フェードルン城】 物語の舞台となるフェードルン城は、森の奥に建つもう滅多に人々の立ち入らない城だ。 かつては人々の集まる煌びやかな城だった。美しいダンスホールにはめかし込んだ人々が集ったが、その全てを合わせたとて姫の美しさには敵わなかったと伝えられている。 また、このあたりでは伝承が色濃く残っており、幼子たちは「悪い子のところには小悪鬼グレムリンが来る」と言われ育てられ、家庭によってその話はさまざまだが、「グレムリンが幽霊を呼び寄せる」と言われたり、散らかった部屋を「グレムリンが来たようだ」と言ったりする。 フェードルン城は妖精のように儚く美しい花と美しい姫君によって栄えたが、100年程前、突如城全体が巨大ないばらに蝕まれ滅びた。そのいばらも長い時の前に枯れ始め、遠日に灰色のように見える枯れたいばらの終みつくその城を、人々は灰色城と呼んだ。
終わらぬ白雪
鏡よ鏡、私たちは、私たちの映画は、どうなってしまうのか。 【あらすじ】 白雪が死体で見つかった。 雪より白いその顔の傍に、真っ赤な林檎が落ちていた。 あなたたちはこの城へ、写真を撮るために訪れていました。 映画のポスター用の写真。 白雪"役”は、小道具の毒林檎を口にし、死んだ。 【招待状】 PC1 あなたは監兼今回のカメラマンだ。 今回この城を撮影の舞台に選んだのもあなただ。 PC2 あなたはアシスタントだ。 アシスタントの仕事は雑用ばかりだ。 PC3 あなたは継母役だ。 役に引っ張られてか、あなたを苦手に思っている人も少なくない。 【舞台概要:カルカサル城】 かつてカルカサル城と呼ばれた城は雪山に建つ城で、現在は売りに出されており、今回は撮影用に借りることができた。 かてては要塞として建築され、時には王族の居城となり、婚姻の儀が行なわれる場所にもなった。かつての王族の花嫁姿を映すためか、大きな姿見が壁に飾られ、現在でも残されているらしい。 雪のなかでも存在を主張するような黒色の城壁で、吹雪くとそれが白の雪と混ざり合って灰色に見えることから、人々から「灰色城」と呼ばれている。
月満つ輝夜
いまは昔、輝夜の姫は家族と暮らしていたのです。 【あらすじ】 竹林の中に、輝夜の姫の住む屋敷がありました。 その子供は月のように美しく、世の人々から輝夜の姫と呼ばれておりました。 穏やかに暮らしていたある日、月の使者を名乗る者が現れ、輝夜の姫を迎えに来たというのです。 満月の夜、共に月へ帰りましょうと。 【招待状】 PC1 あなたはPC2、PC3に育てられた。 その美しさから、輝夜の姫と呼ばれている(男性でも構わない)。 PC2 あなたはPC1の父だ。 PC1の美しさが世で噂になるまで、平凡に暮らしてきた。 PC3 あなたはPC1の母だ。 PC2と共にこれまでPC1を育ててきた。 【舞台概要:孤月 立待殿】 竹林の中にひっそりと佇む、親子三人が暮らすには些か大きすぎる屋敷だ。 数年前、PC1の美しさが人日につき始めた頃、その噂は帝の耳にも入り、帝から賜った屋敷。 宮仕えとしてPC1が成人し立派に働けるようになるまで過ごすことを許されている。 帝が月を仕舞い込んだ曇り雲の城であるとして、人々は影で「灰色城」と呼んだ。