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サイズ:A5 形 体:コピー 頁 数:28頁(表紙込) 発行日:2025.07.13 星に願いを 2025-day2-竜王の翡翠玉にて発行の新刊です。 切国と大俱利伽羅、いつもの本丸の二人ですが、今回は宮城にて行われた大倶利伽羅広光展示に寄せた、本霊に挨拶に行く二人となります。以前発行した「吹花擘柳」 (【堯風舜雨】に再録済)と微妙にリンクしていますが、単独でも読めます。 今回のゲスト枠は一文字のご隠居、あとはなんちょぎも少々。
浅酌低唱
「言えば、良かったんだ」 幼子を諭すような、微かな諦観と、それを大きく上回る愛おしさを滲ませた低い声が響く。 乱暴にならない位の力でわしゃわしゃと頭を拭われ、ぐらぐらと揺れる頭と一緒に、切国の思考も揺れる。 なんでここにこいつが居るんだ、とか。 頭をわしゃわしゃされるのは存外、気持ちよいもんだな、とか。 そんな取り留めのない思考が浮かんではしゃぼん玉の様に、弾けて消える。 「…随分と大人しいが、眠いか?」 大丈夫か、お前?そう気遣う様に手を止めて覗き込んでくる琥珀の瞳に、ぼんやりとした顔が映っている。顔が赤いのは湯冷めの所為だ、多分。きっと。 「気持ち良いなぁって、思ってた」 「…っ、そうか」 一瞬、息を飲むような音がして、絞りだすようにそれだけ漏らした大倶利伽羅の顔を見たいと思ったけれど、被せ直されたタオルに遮られて叶わない。少しだけ乱暴にわしゃわしゃされて、それもやはり心地良かった。 ひと通り水気を拭ってから、乾き具合を確かめる様に手櫛で髪を梳いている大倶利伽羅に、切国はされるがままになっていた。大分、だるさも収まって、まともな思考も戻っては来ていたが、もうここまで来たら、最後まで面倒を見て貰う事にしようと思う。
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