【PDF】クラフトビールのマーケットシェア1%は本当か?
- Digital800 JPY

「クラフトビールはまだシェア1%ほどの存在だが、新規開業も多く、大手メーカーもクラフトビールに市場活性化への期待を寄せて展開を強化している。」 この手のフレーズを一度は見たことがあると思いますが、昨今のクラフトビールの人気を背景にして枕詞のように使われているものであり、その根拠を明示しているものは見たことがありません。確かにそこそこのシェアがありそうな気もするのだけれども実際のところはよく分からないわけです。私自身ずっとこのことが気になっていました。そして、それをそのままにしておくのは良くないとも考えました。 「現在すでに1%で今後も伸長が見込まれるので新規参入しましょう!」と喧伝するコンサルティング会社も少なくないですが、その1%という数字が特定の誰かに有利な条件を設定して恣意的に作り上げたクラフトビールなるものを数え上げた結果であれば小狡いし、論理的で網羅性があってもダイナミックなクラフトビールの動きと同調していなければ意味がない。また、一般消費者の認識から乖離し過ぎては説得力に欠けるでしょう。クラフトビールという現象をどのように記述したらより多くの人と共有できるのか?という問題もここに同時に存在し、それに正面から取り組まねば更なる発展は望めないと思うのです。 こうした問題意識から取り組み、本書の結論としてはかなり妥当性のある或る条件下においては1%を達成していた時期があるということは分かりました。けれども、コロナ禍の影響で2020年以降がどうかはまだ分からないし、その「かなり妥当性のある或る条件」ですらこぼれ落ちているものがたくさんあるという課題も見つかりました。 どういう視点で何を目的に計測するかについて考えるきっかけにして頂けたら幸いです。 目 次 第1章 アメリカのクラフトビールシェアについて 1 1.アメリカでのクラフトビールの流行に関する数字 1 2.アメリカでの人気を背景にした日本の論調 1 3.数字を鵜呑みにするのは危険 2 4.定義の変更による影響 2 5.大人の事情 4 6.買収後のクラフトブルワーに対する認識 5 7.大事な部分を端折ると間違える 7 第2章 日本におけるシェア1%という言説の実態 8 1.根拠がないまま1%という数字が独り歩きする 8 2.酒販業界のクラフトビールに対する一般的な認識 8 3.自称クラフトビールを含める事例 9 4.キリンビールの発表に関して 10 5.全国地ビール醸造者協議会の定義 11 6.母集団の網羅性の低さと恣意的抽出条件が問題 13 第3章 日本におけるシェア1%の根拠と諸問題 14 1.1%の根拠 14 2.こぼれ落ちているもの 発泡酒 16 3.そもそもカウントされていないもの 輸入品 16 4.扱いに関する見解が分かれるもの キリン製よなよなエール 17 5.注意すべき全体の傾向 18 6.抽出された課題と解決に向けての取り組み 19 2021年11月21日開催COMITIAにて初版発行。