【PDF】クラフトビールの今とこれからを真面目に考える本 改
- Digital2,200 JPY

2018年、2019年に東京・政策研究大学院大学にて行った特別講義の内容に追記、改変してまとめたクラフトビール文化論。主なテーマは「クラフトビールにおける日米比較」で、大きく4つの章に分かれています。第一章ではクラフトビールにおける日本と海外の制度の違いを比較し、「今までどうだったか」、そして「定義の有無で生じる差」を確認します。これに伴い、クラフトビールという現象を情緒的クラフトビールと統計的クラフトビールの2つに分け、厳密に区別することを提言しています。第二章ではアメリカのクラフトビールの成長を自家醸造(ホームブルー)とコミュニティ、コミュニケーションという3つの視点で論じます。日本では違法である自家醸造がクラフトビール産業の基礎になっていることを示し、その上にコミュニティが存在します。そして、コミュニティとの対話、すなわちコミュニケーションとしての販売方法の在り方について考えていきます。第三章は日本のクラフトビールシーンにおける課題について具体的に見ていきます。アメリカを範とするならば、日本の法制度や社会システムはクラフトビールに即したものになっていません。情報、ハードウェア、物流、店舗、ビールに関する既存の文化などについて一つずつ考察します。海外の事例などもご紹介し、それらと比較しながら日本における課題をあぶり出していきます。第四章はCRAFT DRINKSが今まで行ってきた活動の総括です。机上の空論ではなく、私どもは「クラフトビールはクロスオーバーだ」をキーワードに、ビールのみならずシードルやワイン、日本酒、そして木樽熟成ビールのプロデュースなどの具体的な活動を続けて参りました。それぞれがどのような意味のものであったかを解説し、微々たるものではありますがクラフトビールシーンに対して私どもが行ってきた貢献についてご紹介します。 ・・・と4年前に書いたのですが、クラフトビールシーンは変化、進化が早く、すでに遅れたものになっている内容もたくさんあります。そのため、更に大幅な加筆修正を加えてバージョンアップをしたいと思います。絵心も無く、写真も少なく、文字ばかり13万字のものになりますが、お目通し頂ければ幸いです。 目 次 はじめに 1 改訂版を出すにあたって 2 第1章 クラフトビールの定義 【1】CRAFTとクラフト 3 1.巷に溢れる「クラフト」の曖昧さと胡散臭さ 3 2.CRAFTに関する2つの裁判 3 3.クラフトビールの定義は必要なのか 4 4.Craft Brewerを定義したから可能になったこと 5 5.クラフトとつけたくなるのは何故か 6 6.同じ言葉なのに違う意味 7 7.現象の基本システム 8 まとめ 9 【2】日本のクラフトビール 10 1.定義が無いことの弊害 10 2.JBAによる「地ビール(クラフトビール)」の定義 11 3.日本に合わせた妥当な定義の条件 12 4.年間生産量3000kL 13 5.「クラフト」という言葉が妥当なのか 14 6.日本におけるコアを改めて考えるべき 15 まとめ 15 第2章 American Craft Beer Cultureの風景 【1】アメリカが強い理由 16 1.純粋にビールは面白い 16 2.アメリカのビールは本当に面白い 16 3.ホームブルーイングはインテリの趣味 18 4.オープンソース化したエコシステム 19 5.Brut IPAの事例 20 まとめ 20 【2】コミュニティ 21 1.Gigantic Brewingの場合 21 2.sugi daddyの場合 22 3.Wicked Weed Brewingの場合 23 4.Hyper Local(ハイパーローカル)という概念 24 5.ハイパーローカル化した時に重要なこと 25 まとめ 26 【3】販売方法とコミュニケーション 27 1.生販三層と直販 27 2.缶の販売をやめた例 28 3.非対面・非接触型店舗の登場 29 まとめ 31 第3章 日本のクラフトビールシーンの課題 【1】インプット・アウトプット 32 1.言葉 32 2.免許と実技試験 33 3.ブルワーの待遇 34 4.品質と効率の追求、働き方 34 まとめ 36 【2】ハードウェア 37 1.専売契約 37 2.Tap Marché 38 3.規格を握るということ 40 4.空冷式が望ましい理由 41 5.ビールの民主化のためにも 42 まとめ 43 【3】プライシング 44 1.すれ違う目線の話 44 2.最高値が安すぎる日本のビール 45 3.コストから考えるプライシング 46 3.高級化 日本酒を例に 47 4.テクネー、クラフトビールの議論に足りない気がするもの 48 まとめ 50 【4】物流 51 1.コモディティ 51 2.中間流通との連携 51 3.直販のメリット・デメリット 53 4.高額だが、かけるべきコストである物流費 54 5.低品質なものが流通するとブランド全体の評判が落ちる 55 6.物流費の要らない世界 ~グラウラー~ 56 7.物流費の要らない世界 ~ビアツーリズム~ 58 8.物流費の要らない世界 ~地元のパブと酒販店~ 59 まとめ 59 【5】飲食店・酒販店 60 1.外飲みで不味かったら瓶や缶は買わない 60 2.酒販店がすべきこと 61 3.仕入れの極意 62 4.語られることでドラマは始まる ガージェリーを例に 63 まとめ 65 【6】文化 66 1.ハイコンテクストな日本とローコンテクストなクラフトビール 66 2.「ビールを通じて地域を元気に」という言葉 68 3.ビアスタイルの狭義と広義 68 4.「商品名=ビアスタイル名問題」の3つのポイント 69 5.日本のビールの守破離を考える 71 6.日本らしさ 72 まとめ 73 第4章 クラフトビールはクロスオーバーだ 【1】CRAFT DRINKSが体現しようとしていること 74 1.成し遂げたいこと 74 2.前提として押さえておきたい、ビヨンドビールへと拡大するシーンのこと 75 【2】木樽 79 1.今飲むべきはウイスキーである 79 2.ビール樽熟成ウイスキー 79 3.Barrel Age Project 2018、2019 81 4.バレルエイジを手掛ける理由 81 【3】ワンウェイケグ 83 1.今導入すべきはテクノロジーである 83 2.キーケグとユニケグ 84 3.キーケグで急成長を遂げた事例 84 【4】シードル 88 1.今試すべきはシードルである - Cidre On Tap Project 88 2.その後に与えた影響 90 【5】日本酒 91 1.今見直すべきは日本酒である ドラフトサケ誕生 91 2.日本酒 ドラフトサケを通じて表現したいこと 92 【6】高品質な定番品 94 1.パブには高品質な定番があった方が良い 94 2.今再評価すべきは美味しい定番である 95 【7】ベルギービールと古酒 98 1.今世界が熱狂しているのはベルギービールである 98 2.古酒が楽しめるベルギーの名店 99 3.古酒 日本で熟成を知るなら大月酒店 100 あとがき 101 改訂版あとがき 2023年になって思うこと 103 2023年9月8日発表。