小説「ミルク」 (肩丘 灯)
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小説「ミルク」(肩丘 灯 名義) ・A6(文庫本サイズ) ・240ページ 表紙カラー 本文モノクロ 2024年に書いた中編小説です。 文学フリマ東京に出品予定です。通販ではとりあえず、限定20部で発売します。 5点中 読みやすさ 4.1 ジーン度 4.5 笑える度 2.5 シーマン度 1.9 冒頭 「十三回忌ってのはね、死んだ人の魂がついに宇宙と一体になる年なんだよ」 と教えてくれたのはうめ子ちゃんで、あのころのうめ子ちゃんはオカルトとかスピリチュアルとかホラーが好きで、死んだ人がどうなるかとか霊とかそういう話をよく教えてくれた。 「七回忌は?じいじは今なにしてんの?」 「それはわかんない」と、うめ子ちゃんは笑った。 「えぇー、なんで十三回忌はわかって、七回忌がわかんないのさ」とわたしは言った。 「悪いねえ」 うめ子ちゃんはいつもそんな風だった。 「ちなみに、生霊の方が本当は怖いんだよ。人に与える怨念みたいなの。死んじゃった方が、死を超えてるからちょっと軽いらしい。でもとても理不尽な死に方をした人の怨念が一番怖いよ」 ひえぇ‥‥とわたしは両肩を抱いて少し震えた。おじいちゃんの七回忌の法要の後、わたし達は真夏の真昼間の寺を歩きながらそんな話をした。前には、お父さんとお母さんと、おばあちゃんがいて、おばあちゃんが振り返って、「うめ子、そんな話してんじゃないよ」と言ったので、わたし達は口をつぐんだ。 思えばあの年が、わたしとうめ子ちゃんが一番近づいた年だった。わたしは十五才で、うめ子ちゃんは三十五才だった。 ‥‥