短歌集『町とさざなみ』【クリックポスト発送】
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2025年11月発行 糸綴じ手製本、サイズA6 36ページ 私の町と遠くのものについて。 短歌とエッセイの本。手製本です。 (あとがきより) 短歌を作るときと、文を連ねていくときの心の状態は少し違うように思えます。いつもはなにか形を削り出すように文章を短く短くしてしまいますが、それは短歌の心でやっているからかもしれません。 今回のエッセイは、畑を見渡して長い畝を作るような心境で書きました。畑の畝の眺めと、その合間に置いた短歌の形がうまく調和して、ひとつの景色になっていたらいいなと思います。 ----------------- 春たちよむらさき色の朝がくる「新鮮野菜」の帯を巻かれて みんながそう呼ぶから名前が決まる草地にできる小道のように 永年の栞の跡よ傷口が治る速度で眠りに落ちる 遊離する言葉を浮かべそれぞれの胸の湖面にうつるさざなみ つややかな深緑の葉、山あいの盆地で生まれた葉が初めて塩水に浸かって、波でゆっくり運ばれていくのを想像した。それはすぐに枯れるだろう。魚がつつくかも、沈むかも、実際のところはすぐに浜に打ち上げられたかもしれない。分かっている。だとしても、遠くに行ったことにしておきたいとその日私は思った。
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