A5/P36/￥600/全年齢 *** Twitter上で行っておりましたクルーウェル先生受けＳＳ企画　#ひゃくいっぴきくるちゃんより、サムデイＳＳ九本を加筆修正し再録、書き下ろし十一本を加えたＳＳ集です。 捏造設定・年齢操作等　なんでも許せる方向けとなっております。 *** （本文より) 『チェリー・ブロッサム・キャンディ』 薄桃色の煙の中で、甘い香りがゆっくりと広がっていく。 鍋を混ぜる手つきは繊細で、いつもは鋭い光に溢れている瞳は、穏やかに優しい色を湛えている。 「… … サム」 「なんだい、デイヴ」 「そこのシロップを、」 「ああ、これだね？」 「俺好みに」 「オウ。ちょっと指示が雑すぎない？」 「… … お前ならやれる」 「そりゃどうも」 言葉だけでじゃれ合いながら、彼の手元で成形を待つそれへ、花の香りと桜色を加えていく。 「フームム、これくらいカナ？」 パチパチと爆ぜる、カラフルな火花。 「グッボーイ、上出来だ」 祈りの魔法がデイヴィスの指先できらきらと形を変えて、 「仔犬のキャンディ？」 「と」 「こっちは骨型？」 「それはお前用」 「… … ハットにしない？」 「全力で却下だ」 小さくキスしたキャンディを互いのそれに触れさせる。 「こっちの方が可愛いだろう？」 「… … まぁね」 「だったら、文句はないな」 「… … 相変わらず強引だねぇ」 唇を塞ぐように押しつけられたキャンディは、舌の上に甘く消える。 微かな酸味を後に残して。 （一部抜粋）