葬送
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───人は、死んだら物になる。 だから葬式は遺された者たちの心の整理のためにある。エゴでしかない。 遺された四人の男が物語る、四つの葬式の形。 葬式を巡る四編の短編集。 ◆『空弔い』 大切な兄の葬式に参列した弟。 完璧だった兄の完璧な葬式で零したのは、「らしくもない」という言葉だった。 ◆『水葬』 世界で一番憎い男の葬式に参列した男。 幼い自分に暴力を振り続けた義理の父親ですらなかった男の葬式。とある目的を果たすため、男は斎場に足を運ぶ。 ◆『供花』 年若い少女の葬式に参列した友人。 よく晴れた夏の日に突然降り出した雨。びしょ濡れになりながらも、男は「いいや、僥倖だったよ」と笑った。 ◆『箸渡し』 とある僧侶の独り言。 「本当に故人というのはずるいものです」 男達はそれぞれの視点で物(死者)を語ってゆく。 粛々と行われる式の中で交錯する人々の想い。 これは、誰かを「送る」物語。 そして、誰かに「送る」物語。 。 2017年執筆、同人誌「葬送」より再録
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