【DL版】さよならだけが
- Digital500 JPY

文庫サイズ110P 「さよなら」を積み重ねて、私達は今日も生きていく。 「別れ」をテーマにした短編集。 「さよなら」は思い出となり、時に切なく面映ゆく胸を締め付ける。 そんな沢山の「さよなら」の物語。 ◆『たえて桜のなかりせば』 《青春》とのさよなら。 「世の中に たえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」 この歌を教えてくれたのは国語の先生だった。 桜が咲くにはまだ早い季節に思い出す、あの三十一音。 これは青春と私のお別れ。 ◆『春待つつぼみ』(合同誌再録) 《初恋》とのさよなら。 中学卒業間近のある日、世界で一番かっこいい人が私の家にやって来た。 大人の真似事をする私の頭を優しく撫でてくれる、私の叔父さん。 そんな彼の家には、背の高い痩せた男がいる。 これは初恋と私のお別れ。 ◆『煙る石膏』 《憧憬》とのさよなら。 彼の席は、喫茶店の一番奥の座席。どこか浮世離れした喪服姿の常連客。 決まって同じ注文をして、文庫本に視線を落とす彼を観察するのが、私の暇つぶしだった。 これは名前も知らないあの人と私のお別れ。 ◆『モンタージュの横顔』 《偶然》とのさよなら。 「連絡先はご自身で移してくださいね」 スマートフォンの機種変に伴い、移そうとした連絡先には「彼」の名前があった。 大学時代に僕が出会った「彼」。 これは同級生と僕のお別れ。 ◆『皿の上の愛』(合同誌再録) 《日常》とのさよなら。 「今日のごはんは?」 この一言から始まる決まったやりとり。気合いを入れて作った手料理を、大好きな彼はいつも美味しいと笑って食べてくれた。 これは愛すべき二人の食卓と「あき」のお別れ。 ◆「雫ひとひら』 《少女》とのさよなら。 大好きな叔父さんの家に行って、ゲームをして、二人でホットケーキを作って、それから。 私に与えられた特別な一日。今日だけはきっと許される。 これは「私」と私のお別れ。 ◆『花に嵐』 《さよなら》のその先に。 花と私とさよならと。 あなたにとって、「さよなら」とは何ですか? URLより1話目が読めます https://estar.jp/novels/25918434 ※内容は、同人誌書籍版と同じです。
