FALL INTO HEAVEN
- 500 JPY
この国の中枢は、八つの機関から成り立っている。 法務を司る第一機関、外交を司る第二機関、財務を司る第三機関、そして、公安を司る第四機関というように。 そして近年、秘密裏に発足したと囁かれているのが、公には存在しない九番目の組織――粛清を司るといわれる第九機関だ。 あらゆる違法行為――殺人さえも、第九機関が“執行”すれば、それは“超法規的措置”の扱いになる。 + + + 第九機関の人間に、墓標はない。 回収された死体は骨すら遺らず処分され、徹底的に存在を抹消される。 生きていた痕跡が無になり、世界のどこにも存在していなかったことになる。 まるで、最初から、生まれてこなかったように。 《削除人》として任務に当たっていたルイは、ある夜、助けた仲間に見殺しにされていたところ、同じ《削除人》として応援に派遣されていたナキに助けられる。 弾道を見切る驚異的な反射神経と抜群の身体能力を備えたナキは、優秀な《削除人》だった。 不思議とナキはルイに懐き、ルイもどこか危ういナキを放っておけない。 ふたりはペアを組むことになり、息の合ったコンビネーションで、任務をクリアしていく。 そのさなか、組織の中で、周囲の仲間を殺害し自らも命を絶つ同僚が続出する。 拡大自殺か、それとも、組織に叛逆する自爆テロか。 調査を進めるうち、事件の裏で糸を引く、或る宗教法人の存在が見えてくる。 教団に“粛清”の銃口を向ける第九機関。 しかし教団もまた、第九機関に牙を剥く。 何も遺さない者たちの、刹那と永劫の物語。
webで試し読みができます。 https://kakuyomu.jp/works/16817330660575143274
A6 / 174ページ
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