アイアンメイデン(トトノ商会仕様)
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――この芸術には、処女という言葉こそがふさわしい。そう思いませんか? トトノさんは、腕組みしながらそうおっしゃいます。 視線の先には、件の装置。 鋼鉄の棺桶の右側が開いて、その身に宿した棘をあらわにしていました……。 【鉄の処女(アイアンメイデン・トトノ商会仕様)】 トトノさん曰く、この処女さんは、高名な作家さんによる仕事であるとのことです。 半身が芸術、もう半身が犠牲者を求めているという対比が、『鉄の処女』の恐ろしさを何倍にも増幅しているように思えてなりません。 さらに恐ろしいのはこれが実用品であるという点です。 疑いの余地はありません。 なにせ、鉄の処女さんは、その身の内に、犠牲者を捕らえて逃がさない、枷が備え付けられているのですから……。 枷について思いを巡らせていると、上階から騒がしい女の子が連れられてきました。 ――お前の相手をしている暇はないんだ! 勝ち気、という言葉がお似合いな、陽に焼けた女の子でした。 女の子は屈強な下男に抑えられたまま、抵抗虚しく鉄の処女に拘束されて行きます。 これから何をされるかは、誰のめにも明らかです。 女の子の顔にも、怯えの表情が浮かびます。 でも、屈強な下男さんは淡々と作業を進めましたし、トトノさんが作業を止めるよう指示することはありませんでした。 女の子は棺桶の中に引きずりこまれ、扉が閉ざされようとしていました。扉が閉じるとともに、無数の針が女の子を―― 実のところ、針が女の子を襲うことはありませんでした。 トトノさんは商人ですから、『商品』を傷つけることはできないのでしょう。 でも、その代わりと言ってはなんですが、女の子の心に恐怖を刻み込む、という試みは成功しているように思います。 だって、はじめに連れてこられた時の威勢は微塵もなかったのですから。 鉄の処女の扉が再び開いたとき、女の子は真っ青でした。 ふらふらと宙を泳いでいた女の子の視線が、トトノさんの方に向けられます。 ――お願い、もう、辞めて。 弱々しく、女の子がいいます。 トトノさんは、満面の笑みで答えます。 ――残念ですね。はじめのように、元気に反抗できるようなら、おしまいにしようと思ったんですけどね。 女の子の怯えを、その場の誰もがはっきりと感じたように思います。 商人として選んだ、合理的な言葉なのか。 本心からにじみ出た残虐さなのかはわかりません。 とにかく、この人を敵に回してはいけない。 わたしは、深く深く心に刻んだのでした。 【商品説明】 ・送付物は8枚目になります。 ・レジンで出来ているようです。 ・レジンに着色する形で、雰囲気を演出しています。 印刷ロット毎に、多少のばらつきが発生すます。 ・塗装はしていません。 ・表面にざらざらした加工が施されています。 未塗装でも映えます。ちょっと色を置くと、もっと映えます。 ・木材と金属のような外観ですが、レジンで出来ています。 ・見た目より、軽いので、びっくりする方が数多くいらっしゃいます。 ・金具は細くて折れやすいので、注意して扱ってください。 ・サポート材の痕は未処理です。 ・仮組は出来ますが、嵌合は緩いため、ヤスリや接着剤での微調整をご提案いたします。 ・人形(フィギュア)はサイズ感、使用例です。付属しません。 ・表面にベタつきがある場合、陽光で半日ほど天日干しにしてください。 こんな陰鬱な『器具』を、天日干し……? 【購入に際して、事前に確認いただきたいこと】 3Dプリント出力品は、薄さ、細さ、長さに応じて、パーツに反りが発生します。 ――木材や金属より繊細だ、ということはわかりました。 出荷時には問題なくとも輸送時の環境(温度状態)や時間経過とともに反り、変形が経時変化として発生することがあります。 出荷時に検品し、問題なことを確認して発送いたしておりますが、出荷後に変形したものまでは責任を負いかねます。 当ショップの商品は、3Dプリント出力品です。したがって、商品には必ず『個体差』が生じます。 メーカーの射出成型品のような品質をお望みの方には当ショップの製品はご満足いただけない可能性がございます。 ――貴族さま方の言葉は、平民のわたしには知るよしもありませんね。 ご主人様が、わたしたち領民のために商人とお付き合いがあるということだけは理解しました。 ――女の子を『いじめて』『よろこぶ』『悪癖』がなければ、素晴らしいご主人様なのですけれど。