ー​獄窓 あらすじー 歌手を志して上京した新村陽色に待ち受けていたものは、ケンカ、クスリに明け暮れるアウトローな日々だった。歌手として食べていくという夢とは裏腹に陽色は覚せい剤（シャブ）の売人として荒稼ぎ、贅沢三昧な生活を送っていたのだった。 そして気付けば自らもシャブの魔力にどっぷりと漬かってしまう。 そんな陽色の唯一の支えは慧という愛する彼女の存在だった。 陽色は一刻も早くこんな荒れ果てた生活から足を洗い、慧と幸せな家庭を築こうと思っていた。 しかし、シャブの上客だった鎌田の代金踏み倒しの事件から、陽色は自らを制する事が不可能となっていた。 そして遂に鎌田の住むビルへ自ら乗り込んでしまうのであった・・・ この物語は、新村陽色自身の実際の経験を元に刑務所生活の中で、 人間が自分自身の過ちや自分の居場所、考え方、現実に真っ向から向き合い 葛藤する姿を描いた物語である。 ～第1話 「逮捕」～ ついに逮捕となった陽色。今回執行猶予中の逮捕とあって実刑は免れない。 内妻の慧とも離れ離れだ。裁判から判決までは時は流れあっという間に刑務所まで来てしまった。それまで留置場や拘置所は何度か入ったことはあったが刑務所まで来るのは初めてであった。刑務所の暗い雰囲気と今までとは明らかに雰囲気の違う刑務官を目に陽色はこれから始まる刑務所生活に不安を覚えていた。しかし、刑務所の過酷さを知るのはまだまだこれからなのであった。