獄中小説『獄窓』第10話 「無力」
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ー獄窓 あらすじー 歌手を志して上京した新村陽色に待ち受けていたものは、ケンカ、クスリに明け暮れるアウトローな日々だった。歌手として食べていくという夢とは裏腹に陽色は覚せい剤(シャブ)の売人として荒稼ぎ、贅沢三昧な生活を送っていたのだった。 そして気付けば自らもシャブの魔力にどっぷりと漬かってしまう。 そんな陽色の唯一の支えは慧という愛する彼女の存在だった。 陽色は一刻も早くこんな荒れ果てた生活から足を洗い、慧と幸せな家庭を築こうと思っていた。 しかし、シャブの上客だった鎌田の代金踏み倒しの事件から、陽色は自らを制する事が不可能となっていた。 そして遂に鎌田の住むビルへ自ら乗り込んでしまうのであった・・・ この物語は、新村陽色自身の実際の経験を元に刑務所生活の中で、 人間が自分自身の過ちや自分の居場所、考え方、現実に真っ向から向き合い 葛藤する姿を描いた物語である。 ~第10話「無力」~ 内妻、慧からの便りが途絶え苛つく陽色。それをからかうように絡んでくる同房の先輩囚人のエットと喧嘩になりかけたのを止めたのは同い年のジュンだった。ジュンに励まされ落ち着きを取り戻したところへ念願の慧の面会が。逸る気持ちを抑えて面会室へ向かうも陽色には慧への苛つきもあった。「なんで手紙をくれなかった。今まで何をしていたんだ。他に好きな男ができたのか?」そんな気持ちを抑えることができずに慧を問いただす陽色。そこで慧の口から出て来た言葉はまるで悪夢のような事実であった…。もう何も見えない…。刑務所の中での無力さを思い知る事になる慧の言葉とは⁉︎
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