獄中小説『獄窓』第18話 「職業訓練・後編」
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ー獄窓 あらすじー 歌手を志して上京した新村陽色に待ち受けていたものは、ケンカ、クスリに明け暮れるアウトローな日々だった。歌手として食べていくという夢とは裏腹に陽色は覚せい剤(シャブ)の売人として荒稼ぎ、贅沢三昧な生活を送っていたのだった。 そして気付けば自らもシャブの魔力にどっぷりと漬かってしまう。 そんな陽色の唯一の支えは慧という愛する彼女の存在だった。 陽色は一刻も早くこんな荒れ果てた生活から足を洗い、慧と幸せな家庭を築こうと思っていた。 しかし、シャブの上客だった鎌田の代金踏み倒しの事件から、陽色は自らを制する事が不可能となっていた。 そして遂に鎌田の住むビルへ自ら乗り込んでしまうのであった・・・ この物語は、新村陽色自身の実際の経験を元に刑務所生活の中で、 人間が自分自身の過ちや自分の居場所、考え方、現実に真っ向から向き合い 葛藤する姿を描いた物語である。 ~第18話 「職業訓練(後編)」~ 四国の刑務所での職業訓練も大詰めを迎えていた。陽色は与えられた環境でベストを尽くすためがむしゃらに何でも頑張った。朝から晩まで勉強し、本を読み、日記を付け始めた。 運動時間には毎日体を鍛え始めてみるみるうちに筋肉をつけていった。もう自分の環境を悲観するのをやめた。自分で蒔いた種なのだから全て自分のせいなのだと割り切った。長い時間かかったがようやく前を向けるようになったのだ。そしていよいよ迎えた試験。そして職業訓練を終えた陽色は半年ぶりに元のM刑務所へと戻ってきたのだが…。
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