ー​獄窓 あらすじー 歌手を志して上京した新村陽色に待ち受けていたものは、ケンカ、クスリに明け暮れるアウトローな日々だった。歌手として食べていくという夢とは裏腹に陽色は覚せい剤（シャブ）の売人として荒稼ぎ、贅沢三昧な生活を送っていたのだった。 そして気付けば自らもシャブの魔力にどっぷりと漬かってしまう。 そんな陽色の唯一の支えは慧という愛する彼女の存在だった。 陽色は一刻も早くこんな荒れ果てた生活から足を洗い、慧と幸せな家庭を築こうと思っていた。 しかし、シャブの上客だった鎌田の代金踏み倒しの事件から、陽色は自らを制する事が不可能となっていた。 そして遂に鎌田の住むビルへ自ら乗り込んでしまうのであった・・・ この物語は、新村陽色自身の実際の経験を元に刑務所生活の中で、 人間が自分自身の過ちや自分の居場所、考え方、現実に真っ向から向き合い 葛藤する姿を描いた物語である。 ～第4話 「スマイル」～ 第三工場を仕切る男、スマイルとの出会い。スマイルは同じ東京から来た陽色を何かと気にかける。スマイルは緊張と暗闇の刑務所の中にいて常にふざけている男であった。暇さえあれば誰かをからかったり人を笑わせたりしている。それなのに猛者揃いの工場の中でなぜか一目置かれ皆から慕われている不思議な男だ。そんなスマイルに陽色はソフトボールに誘われ、刑務所の中で初めて楽しい時間を過ごした。そして刑務所に来て初めての慧との面会は荒んだ陽色の心に和らぎと勇気を与えたのであった。