綿毛の家族
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郊外の一軒家で暮らす幸せな家族は、それぞれの思いを抱えている。 ママの不足とパパの不安、長女の劣等感と次女の羨望。 平和で、幸せで、息苦しい。 真っ白な子犬の「わたげ」と暮らす家族が織りなす連作集。 【こんな人に】 ☑いい子になろうとした、いい親になろうとした経験がある ☑円満でも家って時々しんどいな。と思う ☑しっかり話がつながる連作短編集が読みたい ☑犬が好き、犬を飼っている B6サイズ/本編84p/ナカノヒトリ著 ※本紙は書籍用紙の淡クリームキンマリになります。
リビングの四角い窓の外からは、きっとそんな景色が見える。私はいつも、それを見ている。
望みをポスターに託して壁に貼る。 理想通りにはならないけれど、これでたいていの望みは叶えてきた。 完璧じゃない現実と理想の間で、私は不足を積み上げていく。
淀みなく回っていく。まるでパズルのように、日々がうまくはまっていた。
週末はワンオペ育児。男一人でもなんとかなるもんだ、と胸を張る。 完成形の家庭はあっという間に形を変えた。 俺は、妻の空白を埋める存在なのか。 (パパの山芋入りお好み焼き)
しっぱい。しっぱいするわたしなんて、ダメダメだ。
大人が選んだセーターは、おしゃれだけど毛糸がちくちくする。 いい子だねって言われると誇らしい。安心する。 その言葉がないと、私は息ができない。 (長女のセーター)
どれを選べばいいのかなんて、見ていればすぐにわかることなのに。
シラサギには種類がある。 私はそれを、簡単に見分けることができる。 見ていればわかる。その場の正しい振る舞いだって同じだ。 お姉ちゃんはいつだって変わらない。 特別なお姉ちゃんと私が似ているなんて、もう誰も言わない。 (次女とシラサギ)
タンポポは、花びらに見えるところは個々の花なんだよな。
囲もう。 家族の、平和で幸せな食卓を。 (チップとデール)
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