⭐️魔導画廊-ルノワール ⭐️原作：井上軟太郎 煌煌と光り輝く魔法学園。其処には、魔法の才能に恵まれた生徒たちが集っていた。しかし、其の中に、魔法が使えない…落ちこぼれの少年が一人いた。彼の名はシオン。 シオンは、魔法の授業ではいつも失敗ばかりで、他の生徒たちから嘲笑の的になっていた。魔法適性検査でも、結果は「不適合」。魔法学園に所属していることすら疑問視されるほどだった。 それでもシオンは、魔法学園で過ごす日々を諦めずにいた。彼は、学園の図書館で、魔法の歴史や、様々な魔法絵画について学び、唯一の楽しみを見出していた。 ある日…シオンは、学園の裏庭にある、廃墟のような建物に足を踏み入れた。其処は、かつて、魔法絵画の展示場として使われていた場所だったが、今は、埃まみれで、忘れ去られたように静かだった。 シオンは、其の中で、一際目を引く絵を見つけた。其れは、朽ち果てた額縁に飾られた、色褪せた風景画だった。絵は一見すると、何の変哲もない風景画に見えたが、シオンは、其の絵から不思議な力を感じた。 彼は、其の絵を手に取り、じっと見つめた。すると、彼の目の前に…絵の中に描かれた風景が、まるで生きているかのように広がっていく。 シオンは、驚きのあまり…絵から目を離すことができなかった。彼は、自分の手に持っている絵から、微弱な魔法を感じ取ったのだ。 「これは…魔法絵画だ！」 シオンは、此の絵が、他の魔法絵画とは違うことに気づいた。其れは、魔法の力ではなく、絵に込められた「想い」によって、魔法を発揮する絵だったのだ。 彼は其の絵に、再び命を吹き込むことにした。彼は、絵の修復に精を出し、色を塗り直し、傷ついた部分に新たな命を吹き込んでいく。 そして…ついに、絵は、再び輝きを取り戻した。其の風景は、まるで…絵の中に、新たな世界が生まれたかのように、鮮やかに蘇っていた。 シオンは、其の絵を学園の祭りに展示することを決めた。彼は、其の廃墟を「魔導画廊-ルノワール」と名付けた。 学園祭当日、シオンの魔導画廊「ルノワール」は、多くの人々の注目を集めた。 「わあ、この絵、すごく綺麗！」 「心が温かくなるような、不思議な力を感じるわ。」 「魔法じゃないのに、こんなにも心を惹きつけるなんて…」 人々は、絵に見入っていた。絵を見た人々の表情は、笑顔に変わっていった。 シオンは、自分の絵が人々に喜びを与えていることに、大きな喜びを感じた。彼は、魔法が使えないことを嘆くのではなく…自分の才能を活かして、人々に感動を与えたいと強く思った。 魔導画廊-ルノワールの評判は、学園中に広がり、やがて、魔法学園の校長にも届いた。校長は、シオンの画廊を見た時、大きな感動を受け、シオンに、学園内の廃墟になった展示場を譲り渡した。 シオンは、其の場所を自分が発掘し命を吹き込み終えた魔法絵画を展示した。 「魔導画廊」には、シオンが修復した魔法絵画や、彼が新たに描き上げた絵画が飾られていた。それぞれの絵は、異なる魔法の力を持っている。 見た人に幸福感を与える絵、勇気を与える絵、心を落ち着かせる絵… シオンの絵は、魔法学園に、新たな活気と、温かい光をもたらした。彼は、魔法が使えなくても、自分の才能を活かして、人々に感動を与え、世界を笑顔にすることができることを証明したのだ。 やがて、シオンの「魔導画廊」は、学園中の人々に愛される場所となり、彼の絵は、多くの人々に、心の癒しや、希望を与えていく。 シオンは、落ちこぼれの魔法不適合者から、魔法絵画の才能を持つ若き芸術家へと成長し…人々の心を温める、温かい光を灯し続けていった。