「嫁が優しかったのは、いつまでだったか」
……俺は、答えられなかった。
正直、最初から冷たかった。
会話は否定から始まり、感情のすり合わせなんてなかった。
妊娠が分かって、責任という言葉に背中を押されて結婚した。
決断ではなく、覚悟でもなかった。
それでも“父親”として、家族の形を保つことだけはしてきた。
でも今、ふと立ち止まって思う。
「あのとき、なぜ自分の人生を守れなかったんだろう」
家庭の中で、自分が少しずつ壊れていく感覚。
同じような現実を抱えている人に、そっと届けばいいと思って書きました。