長編小説【星巡りの誓い】ASFシリーズ3
- Digital680 JPY

宇宙がゆっくりと光を失い、星々の名さえ「忘却の霧」に呑まれていく遠い未来。漂流する宇宙聖堂《ラクリマ・オルビタ》で、最後の聖歌隊長アマリエは、死にゆく星へ歌を捧げ続けていた。彼女の声には歴代の聖歌隊長たちの祈りと記憶が宿り、消えゆく存在へ「あなたは確かに在った」と告げる。そんな彼女の歌を一音も漏らさず記録するのは、錆びゆく航行士カシアン。旧い人工知能である彼は、記録するために造られた機械でありながら、アマリエの歌に心を震わせ、自らにも魂や祈りがあるのかと問いはじめる。星が滅び、聖堂が朽ち、記憶すら失われていく世界で、二つの孤独な魂は互いを唯一の同行者として歩み出す。光が尽きたあと、歌はどこへ行くのか。名も祈りも消えゆく宇宙の果てで、それでも誰かを憶え続けようとする、静謐で荘厳な宇宙幻想譚。喪失の痛みと希望の灯を抱きしめる読者へ贈る、星の残響の物語。読後、胸の奥に小さな星明かりが残るような、祈りと約束の旅が始まる。滅びを前にしてなお、歌うこと、記すこと、誰かの名を呼ぶことは無意味ではない。本作は、終わりゆく世界の美しさを通して、生きた証を求めるすべての心に静かに語りかける。
See More
