「黄金の魚」 アンティーク風手作り豆本
- ¥ 1,100
一冊一冊糸綴じをし、カルトンに布張り。 ハードカバーの豆本です。 紅茶で紙を染め、古書の風合いを出しました。 シリーズ五冊目となる本商品には、 「黄金の魚」(7000字強 文・挿絵 楠 深海)というお話を収録しています。 幅約4.6センチ 高さ約6.3センチ 72p、モノクロ挿絵数枚 ※アンティークの風合いを出すというコンセプトのため、 紙面は茶色でごわごわ、ところどころにムラやシミがあります。ご了承ください。 ※作品をイメージした英語詩のカードをつけております。 合わせてお楽しみください。 ~「黄金の魚」英詩カード日本語訳~ ねこは動いてるものには気づかない あいつはおれにこう言った 「なんにも見えなくなりますよ」「ぜんぶ忘れてください」 でもおれは、ふつうのねこじゃない だっておれは高貴な血を引く偉大なねこ ぜったい忘れはしない おまえの笑顔 おまえの笑い声 おまえが死んでも、動けなくなっても、おれは思い出せる はっきり くっきり あざやかに おまえの怒り顔 おまえの泣き声 おれが最期を迎えるときも、おれは思い出すだろう はっきり くっきり あざやかに 自信なさげでおずおずとしたささやき でもそれは常に正しかった。おれは何度も驚いたもんだ おれはときどき優しくなかった ぶっきらぼうに答えることもあった でも、おまえがきらいだったんじゃない たぶん、嫉妬してただけなんだ 「ただただ悲しい それがすべてです」 あいつはおれに言うが、おれはふつうのねこじゃない だっておれは王家の血を引く偉大なねこ なんだってできる おれはかがやく黄金の豹 なにもおそれるものはない たとえおれの体が穢れたって おまえが永遠におれと一緒になるのなら 願いがかなうまでどんどん食ってやる 魚 サカナ さかな 湖で飛び跳ねるさかなのごとき生き物よ いまこのとき おれの一部となるがいい! ************* ~あらすじ~ ジェリドヤードは、もと南王国の王子。 権力争いに巻き込まれ、侍従のサリャと共に、寺院に逃げてきた。 故郷の王族は、絶対に魚を食べない。 ジェリはそう豪語して、決して魚を食べようとしない。 呆れ顔の兄弟子たちだが、本人は誇り高くもその矜持を曲げず、 同じ年に寺院に来た子たちと、仲良く遊ぶ日々を送っていた。 冬が訪れるころ。その仲間の一人が、病気になってしまう。 どうか元気になってほしいと、皆は願うのだが…… 「白の癒やし手」「真紅の妃」「黒の舞師」、長編三部作の番外編。 黒き衣のセイリエンと、四番目の弟子ジェリのお話です。 時系列的には、シリーズの四番目にあたります。 一番弟子ラデルの本「七色の星」 二番弟子エリクの本「青い薔薇の魔法」 三番弟子レイスの本「世界で一番おいしい花」 →四番弟子ジェリの本「黄金の魚」 末の弟子サリスの本「氷の女王」 セイリエンの弟子たちの物語、 お楽しみいただければ幸いです。