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巨大な縦穴で生きる、二つの民族がいた。
一つは、この国の支配層、リン族。
もう一つは、被差別民族として下級階層に生きる、トン族。
リン族による、魔術と配給品が完全に管理されたこの国で、
両民族はお互いに憎悪の感情を募らせていた。
トン族の青年マルクは、或る日、『魚』が壁の外壁に墜落しているのを目撃する。
そして政府に隷属し、トン族に因縁を持つ元義賊組織『赤い鷹』に所属する貴族の娘シーリーンは、
その落ちた『魚』の調査を命じられた。
やがて或る一つの事件を契機として、
彼らは無慈悲な現実に立ち向かう事となる...