【波の寄せる跡に残った断片集】
つまり、宝石ではありません。
椰子の実だとか硝子片だとか流木だとか、殊更珍しくもないものたちの成れの果て、そんな短篇、掌篇集。
波に揉まれるうちに付加された淡い不思議と非日常とともに。
Neutral-中性的-な全四篇。
表題はそれぞれを春夏秋冬になぞらえて。
花咲み
【酔いと宵とを味わう彷徨譚】
夜な夜な酒を飲みに出掛ける話
海に沈む
【未来を諦めた未来】
村ごと沈み死にゆく男の話
此岸花
【均衡という在り方】
歪で幸せな家族の話
迷子の栞
Kino-Kuni文學賞佳作
【合わせ鏡を覗いてみる】
時代を感じる祖母の家で本を読む話