【幻想長編】すべての樹木は光
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【そのようにして、魔法は失われた。】 【長編小説 / 四六版 / オンデマンドフルカラー表紙 / 250P】 透明な街、うつくしい街、ちょうど日付が変わる頃のこと。 一人の優しい娘が、唐突に、身に覚えもなく、一本の樹木に変えられてしまう。 真夜中の熱帯雨林に立ち尽くし、かつて人間だったその樹木は夢を見る。 そして思い出す。 子供のころ、すぐ間近に、樹木へ変身できる人間が居たことを。 ※2022年5月再販。5/30以降発送予定です。再販に伴い、表紙をリデザインしました。初版をお持ちの方向けの再版デザイン表紙カバーを後日ネットプリントで配布します。 ==================================== 風景幻想特化のハイファンタジー小説です。第31回文学フリマ東京の新刊となります。 個人雑誌『walking postcard』で連載していた「the letter from “rain forest”」に完結編を加え、一冊の書籍にまとめました。 連載時の表現・設定・展開に変更を含みます。連載分をお読みくださった方も、ぜひ物語の始まりからもう一度、お楽しみいただければと思います。 ▼冒頭20000字試し読みを公開しました https://kokyushobo.com/novel/trees_light.html
【本編目次】 第一章 雨の歌う町 1 いつか帰る場所 2 相槌と挨拶 第二章 あなたは孤独ではない 3 鳥市場 4 雲と煙の兄弟 5 スコールと木々のダンス 第三章 言葉のない世界 6 木喰い蔓 7 カルス・メリステム 8 草木交信 9 彼らは人間じゃない 10 極相林 11 変身 第四章 楽園の善良な樹木 12 現実 13 魔法の杖 14 愛しいあなたのために 15 剪定鋏 16 楽園の優しき人々 樹木たちは語る
夜が明けると、村に人間は一人もいなかった。少年は、昨日まで人間だった蛾や蝙蝠や蛙の群れを引き連れて、森の奥へ帰っていった。彼らを近くの水辺に放し、昨日まで人間だった様々な種は、すべて母の根元に蒔いた。やがて、その一帯は花が咲き乱れ、蜜に誘われた鳥や獣の歌声で、いつまでも賑わうようになったという。