【完売】breathless / 那楚 / 那貴 / 楚水 / BL / キングダム
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【たえだえ / breathless 】短編集160P / 定価 1500yen ★冒頭部分の文字ばかりのサンプル(長め)↓ https://www.pixiv.net/artworks/87031518 =================================== 楚水さんと那貴くんが同じ会社の上司と部下の間柄で、でも実は12年ぶりに再会した知り合い同士だったら、というところから作って行きました。説明しきれない、実によくある理不尽を散りばめた、普通の二人の話です =================================== * 那楚 / NOVEL / 新書 全160P / 書き下ろし短編・SS8本+twitter再録SS8本+mini漫画 ** キングダム 那貴 x 楚水 現パロ (付き合っている話と付き合って居ない話 ) *** BL / モブ沢山出てきます / っぽい創作、くらいで... **** 既に公開していた分の加筆修正にプラスして書き下ろしがたくさん!チョ子さんと二人で繋げたリレーSSも収録♡ ***** 収録作品のweb再録の可能性有(時期は未定) ****** 転生要素なし、ネタバレもなし
(冒頭部分サンプル)九月の朝 群青色のシーツがかけられたダブルベッドを寝室の真ん中に置いている。一人暮らしをしていた頃に抱き枕として枕を二つ常備していたと言う那貴に習って、二人で暮らす様になって間もない頃は枕をそこに四つ並べていたけれど、結局のところ、隣を見たらすぐにちょうど良い温もりがあったので、そんなものは必要がない事に気づいて二つ捨てた。寝室には殆ど物を置かず、ベッドの隣にサイドテーブルと間接照明だけは置いていて、その上にいつも楚水が寝る前に読んでいる本と次に読む本が置かれている。リネンで那貴が適当に作ったカーテンはペラペラだけれど朝の光をよく通してくれるので二人は気に入っている。但し夏は日が昇るのが早い為必要以上に朝早くに起きてしまうし、冬は寝坊してしまうので平日のアラームは必須である。 「ん……」 休日の朝、違和感で目を覚ますと、パジャマの隙間から那貴の手が楚水の肌に触れていて、左手は下腹部に差し込まれ、右手の指先は胸元を弄んでいた。 「あー、やっと起きた? 実はもう準備万端になってる」 寝惚けた頭では到底理解出来ず、ぼんやりと頭の中を整理しようとした。すると次の瞬間、首筋に押し付けられた唇から差し出された舌が楚水のうなじを撫でたので、肩が反射的に揺れ、ため息が熱を帯びて漏れた。指先の刺激はゆっくりと焦らす様に優しくなり、途端に力が抜ける。 「人が寝てる時に……」 「起きるのが遅いから悪いんですよ」 あとね、寝顔が可愛いのが悪いよね。 優しい口調のわりにとんでもなく自分勝手な言いぶりだなと思い、楚水は抗議の意味を込めて、 「起こし方、考えて欲しい……」 と迷惑そうに言ったが、掠れてしまった声が随分甘く響いてしまって、那貴はくすくすと楽しそうにしながら続けた。 勝手に『準備万端』にされた体が、自分の意思とは違ったところで温度を上げ、既にその先を欲しがっている事に気付き、楚水は枕を掴んだ。眠っている間にスイッチを入れられてしまったせいで、抗うことが出来ない姿を見てニヤリと微笑み、 「だって我慢出来なかったから」 と言って、耳たぶを噛んだ。耳孔に伝わる吐息でぞくぞくしながら、楚水は朦朧とした意識を振り払うように深く息を吐く。その時、那貴は背後から抱きしめる形で楚水を包んでいた。 「楚水さんさ、このあたりにほくろあるの知ってる?」 伸ばした手で楚水の内腿に触れる。もぞもぞと掛け布団の中が動く。 「ん…… 知らなかった」 「みんな気付いてたのかなあ」 耳元で呟き、そのまま人差し指で周りをなぞる。那貴の髪が襟元に入り込みくすぐったい。 「今は俺しか見れないけど」 楚水は、那貴の手をゆっくりとどかし、気怠い体を起こして二人にかけられていた布団を避けた。 「今も、これからも、だよ」 グレーのスウェットを捲り、反撃に出た。周りを丁寧に、それから輪郭をかたどる様に舐め上げ、吸う。その様子を見て那貴は思った。ほんと、エッチになっちゃったな。 「あーあ。俺はしてあげる方が好きなのに」 「……まだ下手?」 赤み帯びた、だけど未だ眠そうな瞼から不安げに覗く瞳がこちらに向けられる。濡れた唇から舌を尖らせ、もう一度その手に握られたそれを軽く舐め、また口に含んでは上下に動かす。いつもより幾分かスローな仕草が妙に艶かしく、那貴は楚水の頭を愛しそうに撫でた。 「……もっとして欲しいけど、もう挿れたくなっちゃった」 ベッドを一台にしたのは間違いだったなと那貴は思う。密着して暮らしていたら否応なしに欲情してしまうし、朝からこうしてセックスをして、気付いたら二人とも疲れて二度寝に突入、そしていつの間にか昼になって、起きた方がまだ寝ている方の寝顔を眺めていたら再び愛しくなって二回戦に取り掛かってしまう。するとあっという間に互いに夢中になってほとんど何も食べずに夕方になったりする。実に堕落していて、いやらしくて、最高の休日になってしまう。 「別れて来た」 マンションに頰を腫らした楚水が現れた時、那貴は目を丸くして驚いた。 「真っ赤になってる。大丈夫?」 ああ、一回だけなんだけど、と決まりが悪い顔で答えた。しかし派手に殴られたのはすぐにわかった。と言うことは、言ったのか。俺との事を。 那貴はそれ以上を求めてなどいなかった。ただ、温もりを分けて貰ったことだけで充分に思えていた。もうそれだけで、生きていける気がする程に。大事なこの人に、不確かな未来など選ばせる気なんて毛頭なかったのだ。 「……ばかだな。いい女だったじゃん、彼女。結婚するのかと思ってた」 別れ話をした時に無様に泣いたり、縋り付くような真似をするのは男でも女も大嫌いだったので、単純にそう思った。しかしそんなことは差し引いても、自立した大人の女だった。それに美人だった。写真で見たことがあるだけではあるが。 「本当にばか。こんなばかだとは思わなかった」 改めて言いながら、那貴はだんだん笑いが込み上げてきた。その彼女には悪いけれど、嬉しい。愛しいこの人が、まさかこうして会いに来てくれるとは思わなかった。嬉しくて嬉しくて、顔を隠した。あーあ、ばかだなあ。信じられない。楚水はドアにもたれて、その様子を見て困った顔をした。 「何度も言うなよ」 「ごめんごめん。おいでよ、こっち。部屋、暖かくしてるから」 ひとしきり笑ってから、部屋の中に促した。 「だからあれから連絡してこなかったの? 楚水さんらしいね」 楚水は那貴の手を掴んで軽く引き寄せた。それから唇を親指でなぞり、楚水の方から重ねて、そのまま二人は抱き合った。 あの日から、離れられなくなってしまって今に至る。 「ここ、良い?」 ぐりぐりと楚水の中で奥の方を刺激すると、楚水の首筋から汗が滴った。那貴はそれを舌で受け止める。 「うん…… 気持ちいい」 たった一点に触れられているだけなのに、その快楽は爪先までじわじわと行きわたる。そのせいで度々声をあげてしまいそうになるのを両眉に力を入れながら必死にこらえて、楚水は答えた。那貴は震える背中の隅々まで、わざと音を立ててキスをしながら、もっとしてあげる、と後ろから囁いて丹念に攻めた。 これをじっくりされてしまうと気持ちはいいもののどうにも焦れったく、途中で、 「……那貴、もう、いいから。いつもみたいに。早く」 と、結局楚水の方から強請ることになる。悩ましげに潤んだ瞳で、こちらを一瞬見てすぐに目を逸らす、その仕草が好きで、それを何度も見たいが為に那貴は焦らすのが大好きだった。 「……前からにしようか」 腰を掴まれたまま体をゆっくりと向かい合わせる。いちいち感じ入ってしまうので顔を隠したが、那貴はいつも楚水を見ている。入ったままのそれが奥まで一気に突き上げられると、先程から抑えていた声がとうとう我慢出来ずに零れてしまった。楚水は目線を下げ、堪えるようにシーツを掴んだ。那貴はその手をとって自分の首に回しながら覆い被さり、更に密着を高めた。楚水の両手は導かれた先で一瞬途方に暮れたが、すぐに那貴の後頭部で落ち着いた。 二人は荒い呼吸を繰り返しながら額をつけて、何も言葉を発さず、互いの睫毛の奥を見つめあった。どうしようもなくなりどちらからともなく舌を絡ませて、それが解けなくなっている間も、体は容赦なく揺れ続けた。重ねた唇の間から吐息と共に切ない喘ぎが掠れて漏れ出る。唇を離して、楚水の前髪を搔き上げると、今度は自分が良い様に動きたくなって、瞼を伏せ体勢を整えた。 「……俺がこの姿勢の時に好きなのは、ここ」 言いながらそのこりこりとした感触を擦ってほぐしてみると、楚水は、あっと驚いて肩を引き、体を仰け反らせた。那貴はそれを見逃さずにするりと首筋に手を回し、突き出された喉仏を甘く齧り、紅潮しきった頰を撫でた。 「楚水さんも好き? 気持ちいいよね、ここ」 薄っすらと目を開けて、那貴の髪を滑らかな視線で見つめた。知ってるくせに、と思った。那貴はこう言う時、自分よりかはいくらか余裕そうに見える。そしていつもより優しい声なのに、少し意地悪だと思う。 「う、わ、待って」 いよいよ体内で襲われ続ける快楽が足の爪先から頭のてっぺんまで支配し始め、咄嗟に逃げようとしたが、頭を抱える様にしている那貴の腕が離してくれない。 それからまるで抉り取るように何度も打ち付けられる腰の動きを受け止めながら、短い息を吐くたびに意識がどこかに飛んで行ってしまいそうな気になって一生懸命酸素を取り入れようとするけれど、もうどうにもならず、ただただ那貴にすがりついた。背中に爪の感触が刺さる。これは楚水が達しそうになっている時の癖だったので、丁度良かったと思い、那貴は楚水の耳元に囁いた。 「……いくの我慢しないで」 楚水は那貴の左肩に顔を埋めたまま、頷いた。 目が覚めると、昼すぎになっていた。カーテンの向こう側を眺めると完全に日は昇りきっていたし、二食分の腹が減っていた。楚水がぼんやりしていると那貴も目を開けた。 「お腹減ってない? ラーメン作ってあげようか?」 「うん。食べたい」 那貴は脱ぎ散らかしていた衣服を拾い、 「楚水さんそこにいて良いよ。作ったら呼ぶから」 と言って、拾ったスウェットを身につけながらキッチンへ向かった。 流し台の上の棚から、買い置きしていた袋ラーメンを二つ取り出し、封を切りながら、あの人はどうしているのだろうかと考えた。楚水さんをぶん殴った人。 「そんな前のこと考えていたのか。人にちょっかいをかけてきている時に?」 半ば呆れた声で楚水は言った。少し寝たから平気だったと言って、ふらふらとやって来てカウンターに肘をつきながら那貴が野菜を切るのを眺めているところだった。 「急に思い出したんだよ。手形がついた楚水さんのほっぺたのこと」 「思い出さなくて良いから」 恥ずかしそうに、露骨に困った顔をした。 「あれから一度も連絡とってないし、会ってもないから知らないけど。元気にしてるんじゃないか?」 「ふうん、そっか」 麺をぐらぐらと沸騰した鍋に入れてタイマーのスイッチを押す。 「やっぱ良い女だったね。美人だったし」 湯に揉まれて解けて行く乾麺を見る。 あの時、楚水が言ったことは、今もはっきりと覚えている。 『誰かの気持ちじゃなく、完全に自分の気持ちだけを優先して考えたら、彼女と別れずには居られなかったし、すぐにでも会いたかったからここに来た』 好きだとか愛しているだとか、そう言った直接的な愛の言葉を言われたわけではない。けれどそれは充分すぎるほど情熱的に聞こえて、嬉しかったのだ。本当に。 「あれ? 那貴のチャーシューは?」 自分と那貴の丼を交互に見比べて尋ねた。 「なんか少ししかなかったからあげるよ」 しれっと答えた那貴を見て、楚水は笑った。 「あはは。ありがと。でも良いよ、半分こしよう」 そう言って、自分に割り当てられたチャーシューを半分取って、那貴の器に載せた。






