【ムーン・リバー(夜桜秘話)】
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blogで知り合えた友のイラストから文章を創起。 表紙絵がそのイラストに当たります。 「ぜねこ様(pixiv ID/9822208/http://touch.pixiv.net/member.php?id=9822208)」のこの表紙ありきで、一気書かされた作品です。 【あらすじ】 春の宵。土方の「夜桜」見物に付き添っていた総悟。桜並木の最後に待ち受けていた太鼓橋の上で、二人と取った選択は……。 《参考データ》 ・本文データは「pdf」 ・原稿用紙換算=3489文字 ・スマホ版:7頁 ・掲載時期:2015年4月頃?
【ムーン・リバー(夜桜秘話)】
桜の匂いまで香ってくるようだった。もっとも桜に匂いがあるかどうかなんて俺は知らない。桜餅の香りは葉っぱのおかげだし、桜茶もなんとなく俺にはただしょっぱいだけのお茶って感じであれが桜の香りだと言われても首を傾げるくらいしか出来なかった。けど。 目の前を歩く黒の着流しの男も、口に煙草こそくわえているものの、そこに火を灯し紫煙を燻らせることなくただ歩いていた。まさか春の消防週間を守って歩き煙草を我慢しているわけではあるまい。今夜は春の夜にしては風も比較的弱い。だからと言って乾燥具合を鑑みるに歩き煙草を推奨するのは仮にも警察としてはあるまじき行為だろうが。
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