親愛なるキミへ
- ¥ 700
親愛なるキミへ P42/600円/A5/モブヘル ヘルメスとモブ彼氏くんの本です。短い話が5本立となっております。 モブ彼氏くんはモブ古代人でnotヒカセン。 お好きな彼氏くんでお楽しみください。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※イベント頒布価格より手数料100円をプラスさせていただいております。また、自宅からの発送のため多少お時間を頂くことになります。ご了承ください。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
親愛なるキミへ
親愛なる君。 今日、この日。世界は終末は迎えることとなる。 君の選んだ決断に。勇気に。 心からの敬意を。 Ⅰ. あぁ、あの人が来る! 想いがデュナミスに乗って、伝わってくる。 とても、とても、暖かな気持ち! ヘルメスはお仕事に夢中で気づいていないの。 はやく、はやく、気づいて、ヘルメス。 大好きなあの人が、会いに来てくれてるよ? ■■■ 「ヘルメス」 ほら、ヘルメス、呼んでるよ。 ヘルメスは新しくお友達になったアンビストマの水浴びにまだ夢中。 早く、気づいて? 「ヘルメス!」 少しだけ、声を大きくして、またヘルメスを呼んだ。 今度はヘルメスも気づいたみたい。 「え……? ぇぇっ」 ヘルメス、やっぱりびっくりしてる! ずっとヘルメスのこと、呼んでたんだよ? 「え、とっ、どうして、ここに?」 「休暇を取っていた者たちと交代で。ようやく私も休みをもらったんだ」 あたたかい。 この人はいつもヘルメスの心をあたたかくしてくれる。 ヘルメスは、少し困ったようなお顔をしているけど、とっても、とっても、うれしそう。 「そうだったのか……。前もって言ってくれていたらプロピュライオンまで迎えにいったのに」 「驚かせようと思って」 ヘルメス、そわそわ。心は、ふわふわ。 わたしは、ヘルメスのふわふわした心がすき。 この、「カレシ」は、ヘルメスととっても、仲良し。 ヘルメスも、カレシととっても仲良し。 カレシが来ると、ヘルメスの心があったかくなる。 私は、それがとてもうれしい。 「メーティオン、これはお土産だ」 袋にはたくさんのりんご。 「りんご!砂糖どばどばのりんごがたくさん、作るね!」 「是非とも」 カレシはいつもプレゼントを持ってきてくれる。 わたしがすきなもの。ヘルメスがすきなもの。 みんな、覚えていてくれる。 「いつもすまない。自分から返せるものがないのが申し訳ない」 「急にお邪魔しているのはこちら方だ。気にしないでくれ」 「いや、本当に……その、すまない」 ヘルメス、あまりカレシと上手に、お話しできない。 うれしいの気持ち、たくさん伝わってくるのに、まるで、わたしたちみたいに、お話が、上手じゃなくなる。 だから、 「ありがとうっ!」 「!」 ヘルメスが上手に、言えないことを、わたしが伝えるの。 「いつも、わたしや、ヘルメスのために、たくさんたくさん。ありがとう!」 ヘルメスが、カレシのこと大切なのに、上手にお話しできないのは、わたしもかなしい。 「どういたしまして」 「本当に、とってもうれしい!」 「また、持って来てもいいかな?」 お膝をついて、わたしに目線を合わせてくる。 優しい心、あたたかな声。 わたしやヘルメスのこと、大事に思ってくれている。 とても、とても、うれしい。 「っその、」 少しほどけたヘルメスの心がまた少し、そわそわしてる。 なにかを、伝える、がんばれ、ヘルメス! 「今日は、その、宿舎で休むつもり、なのかい」 ぎゅうぎゅうと胸がしめつけられるみたい。 伝わってほしい、けど、伝わらないでほしい。 「そのつもりだ。まだ話はつけてないが……」 「君がっ」 ヘルメスの、そわそわ、爆発しそう。 「君がっ迷惑ではなければ、自分の部屋に来てもらっても、その……」 カレシ、なにか、こたえて? 「いいのかい? 急にお邪魔してしまっても」 スッとヘルメスの心が、やわらかくなった。 うれしい、やった!とってもうれしい! 「自分は、問題ない。メーティオンも、君がいてくれると喜ぶ」 わたしはうん、うん、と大きく首をふった。 うれしい、ヘルメスとカレシが一緒にいてくれる。 とってもうれしい。 「では、お言葉に甘えさせてもらおうかな」 ヘルメスがホッとして、わたしはうれしくて二人の間を入り込む。 「おうちくる? 一緒に砂糖どばどばりんご!作れる?」 「あぁ、たくさん作ろう」 「メーティオン、自分はまだ仕事が、あっ」 わたしはふたりの手をひいて、お家へ帰る。 早く、二人ともっと、お話したい。二人にももっと仲よくなってほしい。 待ちきれないから、早く、お家へ、帰りましょう? 「はは、今日のお務めはここまでのようだ」 「……あとで所に連絡をいれておく」 頭の、上で二人が、クスクスって笑う声がした。けれど、わたしは振り返らずに。 真っ直ぐ、真っ直ぐ、お家へ帰る。 本当は、二人がどんな、お話をしているのか、気になったけど。 今は振り返らない、いい気がした。 その変わり。 お家に帰ったら、たくさん、二人のお話。 聞かせてね。