ラヴデイ・ブルックの事件簿
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本書はキャサリン・ルイーザ・パーキス(Catherine Louisa Pirkis 一八三九~一九一〇)のThe Experiences of Loveday Brooke, Lady Detective (1894)の全訳である。 当時の女性を主人公にした探偵小説を研究したジョセフ・A・ケ ストナーは『Sherlock`s Sisters』の中で、ドーカス・デーンは夫 や仲間との交流や相談が描かれている一方で、ラヴデイ・ブルック はたった一人で活動し、ワトスン役もおらず、すべてを一人で決断 行動をしていると、指摘している。彼女は探偵事務所長のダイヤー 氏に雇われている探偵だけれども、所長とは対等に意見を交わし、 捜査の方針や推理の内容もまったく指示されることがない。ダイヤ ー所長は、彼女を一流の専門家として尊敬しているのは明らかであ る。この点はヴィクトリア朝後期の男性が描く女性探偵と、女性が 描く女性探偵像として、現代につながる視点の差とも言えるのでは ないだろうか。「レッドヒルの修道女」の結末で、彼女が「ラヴデ イはこの記事を、リンチ・コート探偵事務所の炉格子に片足をかけ ながら声に出して読み上げた。『まあ、間違ってはいないわね』と いって、彼女は新聞をおいた」という場面も、自信に溢れた専門家 である様子が見て取れる。
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