【映画評論本】配信終了! ネットの海の藻屑に消えた映画たち
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ネットの海に霧散した映画はどこへ インターネットを”海”に例えた最初の人物が誰だったのかは知る由もないが、うまく言ったものだと思う。ネットが大海なら、プラットフォームはさしずめ小島か海上都市か、はたまたハリボテの筏か。そこで提供される収穫物や工芸品を配信コンテンツとすれば、大地に根を張った場所で授受されるものに比べ、あまりに儚い。筆者はかつてVHSテープへの鎮魂の書物『さよなら、レンタルビデオ』を作った。消えゆくビデオ文化への鎮魂の儀だったが、思えばビデオ化されて遺物として存在し続けるだけマシなほうで、配信のみで提供され、いつの間にやら消失した作品はどうなのか。テレビ放送とは異なり、録画もできず、残されない映画たち。ビデオバブル期のように、配信の隆盛がなければ日の目を見ることのなかった作品も多いだろう。しかし、あまりにも膨大な提供量と、かつてない消費スピードの波で、文字どおり泡と消えた作品がどれだけあることか。 本書では、日本国内で一般劇場公開されず、未ソフト化、一時的に配信でのみ流通した映画を集めてみた。そこから派生して、配信中だが消えそうなもの、今後も未配信の可能性が高いもの、プラットフォーム自体がサービスを終了したものなども扱った。そこから見えてきたのは、コロナ禍において配信が果たした役割、 映画祭のあり方、そして観客と映画との変わりゆく関係性。 現在のネット社会は勃興期か、もう成熟しているのか。あるいはすでに衰退期に突入しているのかもしれない。ともあれ、映画史において、これだけ多くの映画が現れては消えていく状況は、誰も経験したことのない未曾有の事態だ。これは異常なことなのか、これこそたどり着くべき映画の終着点なのか。まあ、深刻な話は置いておき、本書と共に映画の海への旅に出かけよう。 ジャンル:映画評論本 サイズ:A5 ページ数:60ページ 文字数:約45000字
ネットの海に霧散した映画はどこへ
【概要】 配信終了した幻の映画たち(+α)を集めた映画評論本! 【作品紹介】 ◇『バードショット』 絶滅危惧種の鳥を撃ってしまった少女がたどり着く、フィリピン麻薬戦争の凄惨な真実。 ◇『最善の人生』 「より良い人生のために悪い道を選んだ それが最善だった」 過酷な社会を流浪する三人の少女たちが下した最善の選択とは。 韓国インディペンデント映画界を席巻した暗黒青春譚。 ◇『まったく同じ3人の他人』 生き別れの三つ子が成長して再会した。 感動話として世間の注目を集めるが、その裏にはおぞましい真実が隠されていた。 人間存在とは何なのかを問う、慟哭のドキュメンタリー。 ◇『カンフーエリオット』 「おれはカナダ発のアクション映画スターになる!」 心ない青年エリオットが抱いた野望は、周囲の人々をひたすら傷つけていく。 映画愛のかけらもない衝撃のドキュメンタリー! ◇『くすぐり』 面白おかしい「くすぐり選手権」の先に待つダークワールド。 人心の底知れぬ悪意に迫った戦慄のドキュメンタリー。 ◇『69歳』 性犯罪被害者には誰でもなりうる。韓国で実際に起きた、高齢女性への性暴力事件をもとにした慟哭と戦いの物語。 ◇『グレイン』 食料危機を救う鍵を握る謎の男・アクアマンを捜しだせ! トミー・リー・ジョーンズも大絶賛した、近未来ディストピア哲学SF! ◇『ジュムリ・タライヤン』 インドの雑踏に鬼神の華が咲く。 冴えない男が怪物に変貌し、民衆を血祭りにあげる衝撃作。 若き才能が私財を投げ打ち作り上げたが、本国では上映不可の血まみれ自主映画! ◇『クラッシュ/衝突』 怒れる彼や彼女は憎悪をぶつけ合う、護送車の中で。 外では銃、中では言葉で武力衝突が勃発! ほぼ全編、護送車の中で展開する現代エジプト映画の傑作。 ◇『ロボット:SORI(音)』 消えた娘を捜し続ける父親の前に現れたのは、世界中の音を記憶する高性能ロボットだった。 ヒトとマシンの珍道中の末、ロボに隠された秘密が明かされたとき、父親が耳にする音とは。 ◇『ヨンジャの全盛時代』 70年代、激動の韓国社会。ベトナム戦争を背景に、家政婦ヨンジャと工員チャンスが織り成す怒涛のロマンス活劇。 夢や希望を失いかけても、幸せを追い求める二人の姿に大衆が皆、涙した! ◇『ノクタ』 狂信的に育てられた敬虔なクリスチャンの孤独男に訪れた初めての恋。 だが、相手は神に背きし存在、吸血鬼だった! 血みどろ誕生パーティーを舞台に彼の恋の顛末はどうなることやら。 ◇『未来は今』「手料理禁止法」 手づくりの食べ物が許されない未来など、6つの未来を垣間見る現代人たちの不思議体験。 ゲーム機「Wii」でだけ配信された幻のオムニバスショートドラマ。 ◇DOKUSO映画館と無数のインディーズ日本映画たち ネットの海にぷかぷかと浮かんでいた小島「DOKUSO映画館」。 インディーズ映画、ミニシアター系に特化したオンライン映画館が、コロナ禍で苦しむ作り手たちを救った。 ◇『野鳥観察員』 たった独りで野鳥を観察する島の暮らしは、老人にとって天国の日々だった。 しかし、その生活は突然に終わりを迎える――。 コロナ禍でのロックダウン下で配信された巣ごもり映画。 ◇『恐るべき遺産 裸の影』 戦争を知らない世代の少女に覆いかぶさる、原爆の影。原爆症をテーマに、若松孝二が東京オリンピックに浮かれる世間へ向けて怒りを撃ち込む!1964年発表の問題作! ◇『ゼロ・モティベーション』 イスラエル軍に入隊した女性たちが過ごす、気だるくユーモラスな日々を描いたコメディ。 いま、この映画をどう受け止めればいいのか。 ◇『優しい戦士たち リトアニア徴兵制復活』 男性だけに兵役が課されているリトアニアで、自ら志願した女性たちに密着した記録映画。 彼女たちが望むのは技術を学び、祖国を守ること。行くべき戦地は男も女も等しく死ぬ場所。 ◇『アフリカ』 「新聞やテレビで言ってる事は全て嘘です!」 心優しき4人の強盗はネット界のアイドルに祭り上げられる。 信者たちのことを人はこう呼ぶ、“4人の韓国革命アイドル崇拝軍団”と。 ◇『(生)盗聴リポート 痴話』 わたしのカラダが盗聴器になっていく……。 盗聴屋の女がドラッグビデオに導かれて狂気の渦にのまれるサイコサスペンス。 新宿派の鬼才・佐藤寿保が放つ、90年代日本映画重要作の一本! ◇『ザ・ルーム』 ヒドすぎて後年カルト化した、愛とスプーンの人間模様。 ディザスター・アーティストの成した究極の作品、その極北の境地に刮目せよ。スプーン! ◇『マフィオサ』 「現代マフィア映画の最高傑作がハリウッドで日本人監督によって作られた」(US Hollywood 国際映画祭ディレクター) ――血の涙を流す、孤独な少女が死体の山を築いた末に見つけた答え。 ◇『ファンタズム』 僕は殺され、恋人はさらわれてしまった。 だが、僕はまだここにいる、幽霊の体を持って! 憑依能力で彼女を救うんだ! 1991年に発売され、全国のキッズを涙させた名作ゲーム! ◇『殺しのオデッセイ』 法が許してもおれが許さない! 怒りに燃える皆殺しの挽歌―― レンタルビデオバブル期にリリースされ、泡と消えた日本未公開の復讐活劇。 おそらく、永久に配信化されないだろう。