《希少本》『受給家族』小林アヲイ/さくらノベルス/小説・短編集・コメディ
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新品・未使用です。 ◆商品仕様 A6文庫本/260ページ/縦書き/カバー有/帯なし ◆内容紹介 人生の最期は切腹で果てたいと願う女子高生、青春を落語研究会に捧げたはずが空転する大学生、恋の幻影に迷い続ける女将など、多様な人々が自身の情熱に翻弄されながら、諦念と解放を得て前へ進む姿を描く。 同人時代より「誠実な人々」の活写を問い続けた小林アヲイによる短編集。表題作『受給家族』をはじめ、二〇一二年から二〇二五年に公開された作品5つを掲載した。
◆掲載作品 概要
【受給家族】 少し未来が舞台の、貧しい路地裏の物語。 路地の家に母と少年が住んでいる。時折、ボロをまとった中年男「おっちゃん」が訪ねてくるが、母は罵声を浴びせて追い返す。少年も男のことを常々薄気味悪く思っている。ある時、少年は好奇心から男を訪ね、会って話をした。男の言葉は意味不明で、少年は怖気づいて逃げ帰った。以来、少年の心に変化が生じ……。 実験的創作が、はからずも寸止め小説と化す。2018年小説作品。 【オチケン】 落語×ミステリー×コメディ=? 大学四年生のハヤシは学生時代の全てを落語研究会(オチケン)に捧げてきた。後輩女子ホダカに慕われ、平和な学生噺家ライフを送っている。しかし同じ四年の新入部員コグレの台頭により、地位は揺らぎ始めた。コグレは心理学専攻の寡黙なイケメン。中途入部でキャリア半年だが落語は滅法うまい。部内の話題を席巻しホダカの関心も掴みかけている。ハヤシはコグレに嫉妬を抱くようになる。ところが、そのコグレが商店街秋祭りの出張高座で不可解な沈黙を演じる。狼狽するハヤシとホダカ。それ以来オチケンは波乱が続いて……。通俗的小説体系から製法を抽出し発想を蒸留置換させた実験的ミステリー短編。2022年作品。 【#切腹女子】 あの有名芥川賞作家も読んだ(読まされた)!? 『無責任姉妹』シリーズ・7年ぶりスピンオフ 人生の最期は切腹で果てたいと願う歴史オタクの高校生・典佳(てんか)は、学園祭で「模擬切腹」をライブ配信して炎上する。学園が火消しに奔走する中、動画を視た難病の少年から「典佳さんにお会いしたい」とメールが届く。典佳は担任に連れられ、入院先を訪れる。 移植しなければ余命幾許もない少年は、高い自尊心ゆえに、肉体と思考が正常なうちに切腹したいと告白し、典佳に助力を請う。一方、移植に希望を見出す母親は「説得して切腹をくいとめてほしい」と懇願する。 母の願いを引き受けた典佳は、たびたび少年に面会し、歴史を引き合いに少年の切腹願望を諦めさせようとする。だが少年は典佳以上に歴史に詳しく、毎回論破してしまう。 やりとりを繰り返すうちに、典佳は憂鬱にとりこまれてゆく。死を覚悟する少年の望みを否定し続けることに、良心を苛まれる。少年も、反対ばかりする典佳にしびれをきらし、ついに面と向かって罵倒してしまう。 【みすゞの場合】 「これらの幻影を生み出していたのは、紛(まぎ)れもなく、私なのだ――。」 30年来小料理屋を営む【みすゞ】の目蓋の裏には、長らく封じ込めたままの男の幻影があった。 月日の流れのもたらす忘却により憂悶を逃れていた彼女だったが、一人の若き常連の登場をきっかけに記憶を呼び覚まされ、再び幻影と対峙することになる。 積極的に生を肯定しつつも、逃れることのできない老いへの不安。開き直っては未練に絡めとられる心。そして、手放し難い、淡い想い。 南国の裏町に灯った小さな赤提灯の小さな物語。 【贋物】 少年・吾郎の身に様々な厄災がふりそそぐ。 弟・コウジの怪死、母・ササの発狂、信じていた父・大吾の出奔。孤独となった吾郎は親戚から疎まれ、孤立し鬱屈してゆく。そんな吾郎の悲しみを、島の因縁である藤原某の逸話になぞらえて解きほぐそうとする同級生の千代子。彼女もまた、交際していたコウジを喪った悲劇の一人であった。 全てが明らかになったあと、本物とは何か、改めて問いかける。2012年小説作品。
◆著者紹介
【小林 アヲイ】 1977年鹿児島生まれ。2015年『学園コメディ無責任姉妹』で電子書籍デビュー。同シリーズ続編を経て、スポーツ・ファンタジー・政治経済など様々なジャンルをまたぎコメディ小説を上梓。2019年頃より短篇小説に軸を移し純文学的な筆致を採り入れる。



